2019年8月2日 横浜市
2019年7月30日UNU-IASは、横浜で行われた第11回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2019)において、持続可能な開発のための教育(ESD)に関するセッションを開催しました。
セッションは海外環境協力センター(OECC)の協力のもとに開催され、80人以上の聴衆を得て、社会変容をもたらすESDの役割や、ESDに関するグローバル・アクション・プランの次を見据えた取組についての議論が行われました。また、SDGsの達成に向けたESDの貢献や、これまでのESDの活動の課題と教訓、モニタリングや評価の枠組みについても意見が交わされました。
基調講演では、UNESCOマハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発のための教育研究所(MGIEP)のアナンサ・ドゥライアパ 所長が、ESDと人間の行動との関わりや、認知的不協和への対応について発表を行いました。人間の振る舞いがなかなか改善されないという事実は、各自がとるべき適切な行動を教えることにより各個人と課題を結びつけることの必要性を示しています。これは、人間の意識の合理的な面とともに情緒的な面についても考慮し、教育が情緒的な知性をもたらす成果を上げられるかについて考えることの必要性を示しています。
パネスディスカッションでは、マリオ・タブカノンUNU-IAS上級客員教授がモデレーターを務め、基調講演を受けて活発な議論が行われました。三浦うしほ氏(UNESCOバンコク事務所)は教育と学習が人々と社会を変容しうることを述べ、佐藤真久氏(東京都市大学環境学部)は人々の意識を変革する事例を示しました。北村友人氏(東京大学大学院教育学研究科)は社会のシステムを変えることの重要性を取り上げ、望月要子氏(UNESCO MGIEP)は教育の方法と目的を再考することの必要性を強調しました。
今回のセッションを通じて教育が社会を変容しうるというメッセージが発せられ、SDG4(教育)がそのほかのSDGsを達成するための手段にもなりうることが示されました。参加者にとっては、ESDが持続可能で平和な社会の構築をもたらすために必要なツールや枠組み、技術についての知識を深める機会にもなりました。