残留性有機汚染物質の測定と管理に関する特別セッションを開催

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  • 2019年9月9日     京都

    2019年8月26日、UNU-IASは、京都で行われた第39回ダイオキシン及び残留性有機汚染物質(POPs)国際会議(DIOXIN2019)において、POPsの測定と管理に関する特別セッションを開催しました。DIOXIN2019は、国際的に著名な専門家が集い、最新の情報や知見の共有を通じてPOPsに関する様々な課題に対処することを目的としています。

    国連大学は、1996年以来、アジアの水圏に着目し、科学的な測定に基づいて環境汚染物質を適切に管理すべく、(株)島津製作所の支援を得て、POPsに関する研究活動の強化と高等教育機関の支援を行うプロジェクトを実施してきました。

    UNU-IASのセッションは、これまでのプロジェクトの功績を会議の参加者と共有するとともに、最後となったフェーズ7(2016~2018年)として行われたフッ素系化合物に関する環境測定と管理のプロジェクトの成果を発表するために行われました。開会挨拶に続き、森田昌敏氏(愛媛県環境創造センター所長)が、プロジェクト全体の概要を紹介しました。

    セッションの前半では、長きに亘るプロジェクトの成果が取り上げられました。マリオ・タブカノンUNU-IAS上級客員教授は、2030アジェンダの実施と関連する国際プロセスのための科学と政策のインターフェースについて発表しました。柴田康行氏(国立環境研究所フェロー)は、東アジアの化学物質管理に関するUNU-IASプロジェクトの貢献について紹介しました。上柳敦郎氏(島津製作所シニアマネージャー)は、POPsの測定方法とデータの品質保証・管理に関して説明しました。

    セッションの後半は、フェーズ7の成果であるフッ素系化合物の測定と管理について議論されました。フッ素系化合物は幅広く利用されている一方で、その環境への影響が懸念されています。セッションでは、プロジェクトに参加している10ヵ国(中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の担当者が、表流水や底質、生物中のフッ素系化合物の測定・分析結果について発表しました。これに続き、早水輝好UNU-IAS客員シニア・リサーチ・フェローは、アジア全体におけるフッ素系化合物の測定結果の傾向について発表を行いました。

    討論においては、発表者や聴衆の間で、測定結果の解釈について意見が交わされたほか、環境測定に関するキャパシティビルディングの観点からプロジェクトの成果が共有されました。