2023年3月29日 ニューヨーク
2023年3月24日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、国連2023年水会議にて「世界から地域への水の安全保障評価:いかに測定し、どれだけSDG6達成に近づいているのか?」をテーマにサイドイベントを共催しました。本イベントでは、指標やデータに焦点を当て、学術界、国連機関、市民社会、開発銀行から集まった専門家が水の安全保障の現状について議論しました。また、SDG6(清潔な水と衛生)および国連水の国際行動の10年の目標のための指標に関連するギャップと課題について議論しました。なお本イベントは、3月18日にUNU-IASが主催した、アジアにおける都市の水の価値づけに焦点を当てたサイドイベントに連なるものです。
セッションの冒頭で、UNU-INWEHのカヴェ・マダニ所長は、世界が2030年までにSDG6を達成する目途が立っていないことを警告する新しい報告書『世界の水の安全保障2023』の公開を発表をしました。また、この進展の欠如が他のSDGsの進捗も妨げていること、水資源や財源が豊富なだけではすべての人に対して水の安全保障を保証できないことを強調しました。
東京大学未来ビジョン研究センター副所長でもあるUNU-IASの福士謙介アカデミック・プログラム・アドバイザーは、アジアにおける持続可能な開発のための水の役割を包括的に把握するためにUNU-IASが開発した水評価フレームワークを紹介しました。経済、環境、人間のウェルビーイング間における相互依存関係を強調し、成長経済の中で水の多面性を評価し、水資源のより良い管理を促進する統合的なツールの必要性を強調しました。
UNU-IASの山口しのぶ所長は、アジアにおける水の安全保障研究と協力強化のための地域パートナーシップの重要性に言及し、新たに構築された「アジアの都市における水の持続可能性のためのパートナーシップ」を強調しました。このUNU-IASの取り組みは、包括的で持続可能な水の管理指標を開発するべく地域の学術機関と政府を結びつけるでしょう。また、山口所長は、水の安全保障を確保するためには、エビデンスに基づく知識と解決策が重要であることを強調しました。
パネルセッションと参加者との対話型ディスカッションでは、SDG6の統合モニタリング、エビデンスを政策や実践に反映させる市民社会の役割、東アフリカにおける水のアクセスの課題、水の不平等の解消などの問題が取り上げられました。
本イベントは、国連大学水・環境・保健研究所(UNU-INWEH)、国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所(UNU-FLORES)、ノースウェスタン大学、アジア開発銀行(ADB)、世界保健機関(WHO)、ウォーターエイド、UNU-IASの共催で行われました。