HLPFサイドイベントでSatoyamaイニシアティブを通じた生物多様性保全のための地域行動について議論

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  • 2023年7月19日

    2023年7月12日、国連大学サステナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、2023年国連持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)のサイドイベントを共催し、「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」の実施について議論しました。2022年12月に採択されたGBFは、生物多様性の喪失に対処し、生態系を回復し、先住民の権利を保護するための画期的な協定です。

    本オンラインイベントでは、小規模なプロジェクト・ファイナンスを通じて生物多様性と自然資源の持続可能な利用を地域コミュニティ内で促進する「SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS )」に焦点が当てられました。COMDEKSは、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の主要プログラムです。

    専門家や地域の実務者は、空間的な計画や回復、保護区や「地域をベースとするその他の効果的な保全手法(OECMs)」、農業やその他の管理された生態系における生物多様性の生産性、持続可能性、レジリエンスなどに関する経験や教訓を共有しました。本イベントは、経団連自然保護協議会(KCNC)、環境省、生物多様性条約事務局(SCBD)、UNU-IAS、地球環境ファシリティ小規模融資プログラム(GEF SGP)、国連開発計画(UNDP)によって開催されました。

    セッションの冒頭で、UNDPのシュウ・ハオリヤン事務次長兼副事務総長は、人間と自然との関係回復が急務であると強調しました。また、自然の喪失、気候変動、貧困、不平等といった統合的な危機には、IPSIが推進する自然を基盤とした解決策のような統合的な解決策が必要であると指摘しました。

    環境省の國定勇人 環境大臣政務官は、生物多様性の保全域を世界全体の30%まで拡大することを目指す目標3、劣化した土地の少なくとも30%を再生させることを目指す目標2、農林業やその他の生産分野における生物多様性の持続可能な利用を目指す目標10などを見据え、GBFの実施に対して日本政府が具体的に貢献する決意を改めて表明しました。

    UNU-IASの山口しのぶ所長 は、地域社会の文化や福祉に深く根ざした「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)」を推進・支援する本パートナーシップの使命について説明しました。そして、COMDEKSによる資金提供を受けて持続可能なラマの管理システムを確立したアルゼンチンのSEPLSプロジェクトの例を紹介しました。ラマをやさしく囲い込みし、毛を刈り、野に放つという伝統的な技術を用いた本プロジェクトは、生物多様性の保全に貢献するだけでなく、持続可能な生計や所得創出、貧困削減を促進することで、いくつかのSDGsの進捗を前進させました。

    UNDPのGEF SGP、SGPパートナーシップ・スペシャリストでもあるCOMDEKSのリッサ・エドー プロジェクト・マネージャーは、現在フェーズ4を迎えたCOMDEKSにおいて、関連の地域を基盤とした取り組みを支援し、本イニシアティブを2023〜2028年の間に20の開発途上国に拡大して展開していくことを強調しました。

    カメルーン、ネパール、トルコの地域実務者たちは、SEPLS管理の経験について議論し、生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAPs)やその他のメカニズムを通じて、ランドスケープ・アプローチを世界および国家の政策の中に組み込み、拡大・主流化する方法を探りました。

    COMDEKSについて

    COMDEKSは、2011年以来SATOYAMAイニシアティブのビジョンである「自然共生社会」の実現に向けた活動を行っています。本プログラムは、世界20カ国において活動しており、人間と生態系が共生関係にある地域である「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)」の維持と再建を支援するため、現地の団体に少額の助成金を提供しています。更なる詳細は、COMDEKSウェブサイトをご覧ください