2024年8月6日
2024年7月17日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、国連持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム2024(HLPF)のサイドイベントを共催しました。本イベントは、生物多様性および自然資源の持続可能な利用のための地域主導のイニシアティブを支援するプログラムであるSATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)に焦点を当て行われました。
COMDEKSは、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)のフラグシッププログラムです。本プログラムでは、社会生態学的ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)における生物多様性保全と持続可能な管理に向け、地域へ小規模無償資金を提供しています。また、本プログラムは地域レベルでの持続可能な開発目標(SDGs)と昆明・モントリオール生物多様性枠組の目標達成に向けた取り組みに貢献しています。
冒頭、UNDP Marcos Netoアシスタントアドミニストレーター、ディレクターは、地球規模で不平等が拡大する中で自然の損失、劣化、気候変動、紛争と不安定化および健康危機へ喫緊の取り組みのが必要であると強調しました。また、自然はこれらの複合的な課題に取り組むための強みであるとも述べました。
環境省朝日健太郎環境大臣政務官は、本プログラムのGBF策定への貢献について紹介しました。また、15ヶ国で実施される予定のCOMDEKSフェーズ4へ日本からも支援することを強調しました。経団連自然保護協議会(KNCC)西澤敬二会長はネイチャーポジティブ社会実現に向けて、KNCCが今後5年間で3億円を支援すると述べました。
UNU-IAS山口しのぶ所長は、先日公表された『社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)におけるレジリエンス指標に関するツールキット』について紹介しました。本ツールは、地域社会がその環境や経済状況を守るため、社会的、経済的および環境的な力の動員を意味するレジリエンス(回復力)への理解を深めるための実践的ツールであり、レジリエンスを強化する実践活動を奨励しました。
地球環境戦略研究機関武内和彦理事長は、持続可能な生産活動が生物多様性と生態系サービスを維持すると同時に地域の暮らしを強化している地域を意味するSEPLSにおける、IPSIの取り組みについて紹介しました。
カメルーン、ペルーおよびトルコで活動を進める実践家も登壇し、COMDEKSプロジェクトにおける経験を共有しました。議論では、持続可能な開発の達成において草の根のイニシアティブが果たす重要な役割に加え女性へのエンパワーメントが地域の変革の鍵であることも強調しました。
本サイドイベントは、経団連自然保護協議会、環境省、国連開発計画GEF小規模グラント・プログラム、生物多様性条約事務局および地球環境戦略研究機関の共催で開催されました。詳細はIISD(International Institute for Sustainable Development)のウェブサイトをご覧ください。
SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)は、2011年の設立以来、SATOYAMAイニシアティブのビジョンにも掲げられている「自然共生社会」の実現に向けた活動を行っています。地域の団体に対し小規模無償資金支援を行い、人が生態系と共生関係を持つ社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)の維持と再建を支援しています。世界20カ国で活動しています。詳細についてはCOMDEKSウェブサイトをご覧ください。