シンポジウム「サステイナブルな消費と生産―エシカル消費から未来を変える-」を開催

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  • 2019年11月13日     東京

    写真提供:上智大学

    10月10日、UNU-IASは、上智大学および地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)との共催で、シンポジウム「サステイナブルな消費と生産―エシカル消費から未来を変える-」を上智大学に於いて開催しました。

    開会挨拶に登壇した渡辺綱男 UNU-IASシニア・プログラム・コーディネーターは、持続可能な消費と生産について、国連のSDGs報告書では世界の物質消費量が年々増え続けている現状が報告されており、行動の変容を促す分野横断的な取り組みが必要とされていると強調しました。

    続いて、井上直己 上智大学大学院地球環境学研究科准教授が、気候変動が生物の絶滅、海洋汚染、などと相互に悪影響を及ぼす結果、連鎖的な状態変化を次々と及ぼし始める転換点を迎えるという科学的予測について解説し、CO2削減のみならず生態圏の保全が重要だと説きました。そして、今後、消費・経済活動を持続可能な形に転換していくことは不可欠だと述べました。
    次に、鈴木基之 一般社団法人日本UNEP協会代表理事が、持続可能な消費と生産10年計画枠組みをはじめとするUNEPの活動、SDGs策定の背景などについて解説しました。また、有限な地球の条件下において持続可能な人間活動を模索するために、モノの循環(ライフサイクル)を考えることの重要性を強調し、不要なものは拒否する意思表示を行うことによって、持続可能な消費・生産形式の構築に貢献し得ると指摘しました。
    米山眞梨子 消費者庁消費者教育推進課企画官 は、消費者市民社会の構築とそのための消費者行動を促す消費者庁の普及活動を紹介しました。また、食品ロス削減の取り組みを例に、個人、事業者、省庁等多様な主体を繋ぐパートナーシップを構築することや地域の資源に目を向けることがエシカル消費につながると述べました。
    最後に、末吉里花 一般社団法人エシカル協会代表理事が、市民・学生の教育現場での具体的な事例を取り上げ、各自が関心のある課題から何ができるのかを考え、小さな行動の習慣を積み重ねることが、社会を変える大きな力を生む原動力となると述べました。

    パネルディスカッションでは、エシカルな消費行動を後押しするための情報発信強化、企業に対し持続可能な活動を求める働きかけ、情報開示をめぐる法律整備の必要性などの論点が挙げられ、官民一体となり様々な主体を繋ぐパートナーシップの重要性が指摘されました。質疑応答では、持続可能な消費と生産について会場の参加者から提示された様々な質問に登壇者が答え、活発な意見交換が行われました。

    閉会挨拶では、星野智子氏(GEOC) が、パートナーシップ構築の大切さを再度強調し、シンポジウムを締めくくりました。