食料システムの変革を呼びかける

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  • 2024年3月14日     オンライン

    2024 年2月29日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は気候変動と生物多様性の統合的な解決策の一つである持続可能な食に焦点を当てたオンラインシンポジウムを環境省とともに開催しました。

    冒頭、主催者挨拶で登壇した環境省鑓水洋総合環境政策統括官は、昨年ドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC COP28)の成果に触れ、都市レベルでの取り組みや持続可能なライフスタイルの重要性について話しました。また、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合でも議論された、ネットゼロ、循環経済およびネイチャーポジティブの実現に向けた地域レベルでの取り組みの必要性を強調しました。

    続いて、UNU-IAS山口しのぶ所長は、食料システムの変革が統合的な対策を考える上で重要なアプローチであることを強調しました。また、国連主催の食料システムサミットやCOPでの食料システムに関する議論について触れ、UNU-IASも食料システムの改革に関する研究を引き続き推進したいと話しました。

    UNU-IAS竹本明生プログラムヘッドは、食料システムにおけるカーボンフットプリントについて説明しました。日本の食料システムにおいては、生産段階以降のサプライチェーンがカーボンフットプリント排出割合の70%を占めています。しかしながら、輸入農産品のカーボンフットプリントを考慮すると、土地利用変化や農業など生産段階における排出量は大幅に増加します。それを踏まえ竹本プログラムヘッドは、食料生産や輸送時の排出削減に加え、食料や飼料、肥料の地産地消および近距離食材を利用したフードマイレージの低減などの推進が重要であると強調しました。また、消費の優良事例としてフランス、パリのサステナブルフード計画、学校給食へのサステナブルフードの導入および韓国ソウルでのオーガニック無償給食を紹介しました。

    その後のパネルディスカッションでは、東北大学グリーン未来創造機構/大学院生命科学研究科教授兼日経ESGシニアエディターの藤田香氏がモデレーターを務めました。ディスカッションでは、食料や農業における環境配慮の取り組みが地域にもたらす効果、ステークホルダーとの連携とその課題について議論しました。

    最後に、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の武内和彦理事長は、気候変動や生物多様性の危機への統合的な解決策の一つとして、食料システムの改革をさらに推進していくことを呼びかけました。