2022年世界湿地の日記念シンポジウムを開催

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  • 2022年2月8日     オンライン

    2022年2月2日、UNU-IASは、日本国際湿地保全連合(WIJ)、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)、日本環境省とともに、2022年世界湿地の日を記念するシンポジウムをオンラインで主催しました。シンポジウムでは、「人と自然のために、湿地を守る活動を始めよう」をテーマに、湿地の保全と再生、そして持続可能な利用を進めるための行動の加速について議論を行いました。

    冒頭、主催者挨拶で登壇したUNU-IASの山口しのぶ所長は、今年の「世界湿地の日」が、国連の定める国際デーとなってから開催される初の世界湿地の日であることを紹介し、「国連生態系回復の10年」にも参加しているUNU-IASが、国際SATOYAMAイニシアティブ、GEOCプロジェクトを通じて、人と自然のための行動の加速に貢献していることを強調しました。

    続いて、ラムサール条約事務局長マルタ・ロハス・ウレーゴ氏がビデオメッセージを通じて、世界湿地の日は、あらゆるレベルのステークホルダーを巻き込み行動を拡大する機会であるとし、迅速な行動を呼びかけました。

    続いて、則久雅司氏(日本環境省自然環境局野生生物課長)が、「世界湿地概況2021」で報告された最近の湿地の状況や、日本の新規ラムサール条約登録湿地について紹介し、環境省として湿地が身近な存在となるよう取り組みを進めたいと話しました。

    基調講演で登壇した、キャサリン・ビムソン氏( IUCN Asia、プログラムオフィサー)は、今世界が直面している災害、気候変動、生物多様性の喪失といった様々な課題の解決策として「自然に根ざした解決策」 (Nature-Based Solution、NbS)が有効であると述べ、具体事例を交えながら解説しました。

    続いてのセッションでは、3名が事例発表を行いました。新井雄喜氏(信州大学 社会基盤研究所)は、ウガンダの湿地管理プロジェクトを紹介し、湿地の保全には、住民の経済・社会的課題を同時に解決する視点が重要であると話しました。

    江島美央氏(鹿島市ラムサール条約推進室)は、有明海の肥前鹿島干潟の保全・再生活動について紹介し、それぞれの考え方や立場を尊重しながら、環境と産業の調和の取れた取り組みを進めることが重要であると話しました。

    柳谷牧子氏(UNU-IASプログラムコーディネーター)は、生態系の回復には、人が積極的に関与する必要があると述べ、UNU-IASが事務局を務める「国際SATOYAMAイニシアティブ」を通じて、科学的根拠に基づき人が関わる保全活動を促進することの重要性や、「国連生態系回復の10年」を通じて各地の事例をスケールアップしながら、長期目標達成に向けて取り組みを加速させてゆくことの必要性を強調しました。

    最後に、星野一昭氏(WIJ会長)が、日々の暮らしの中で湿地とつながりを持つことや、社会課題を解決するという視点から湿地の保全を考えることの重要性を強調し、シンポジウムを締め括りました。