2021年世界湿地の日記念シンポジウムを開催

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  • 2021年2月9日

    2021年2月2日、UNU-IASは日本国際湿地保全連合、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)とともに、2021年世界湿地の日を記念するシンポジウムをオンラインで開催しました。

    シンポジウムでは、今年のテーマ「湿地と水」について、水環境の保全と水資源の持続可能な利用、そして今後の私たちの暮らしと湿地との関わり方について議論を行いました。

    開会挨拶で登壇したUNU-IAS山口しのぶ所長は、新型コロナウィルス感染症に対応する中でSDGsを達成するためには、複合的なアプローチが必要であると述べ、UNU-IASの研究プロジェクト間の連携強化や分野横断的なパートナーシップの促進を通じて達成に向けた取り組みに貢献してゆくと述べました。

    続いて、ラムサール条約事務局のマルタ・ロハス・ウレーゴ条約事務局長がビデオメッセージで、世界湿地の日の開催に謝辞を述べるとともに、日本の52ヶ所の条約湿地における政府・自治体・関係者の努力を賞賛しました。続いて環境省自然環境局野生生物課中尾文子課長が水資源と湿地の関係について解説しました。

    事例発表では、チャパガイ・サローズUNU-IASリサーチフェローがIASが実施する研究プロジェクト「持続可能な開発のための水 (WSD) 」の研究成果から、東南アジアにおける経済活動と水消費・水質汚染の関係性を解説し、経済成長と環境保全を両立する適切な分析評価モデルを用いて水管理を考えることの重要性を強調しました。

    また、日本の事例として、九州大学工学研究院の島谷幸宏教授より湿地の恵みとリスク管理における地域の知恵について、滋賀県立大学地域共生センターの上田洋平氏より、琵琶湖の人と自然と歴史のつながりについて発表が行われました。

    後半は、人と水や湿地との繋がりを改善する方法や、自然を基盤とした解決策をスケールアップする方法などについて意見交換が行われました。地域の課題をSDGsを活用して発信すること、環境の保全と防災を一体的に考えること、自然の統合的な繋がりについての理解を促進すること、研究を通じて効果を正しく評価すること、様々な人が分野横断的に連携できる場を作り発信を通じて多くの人に問題を知ってもらうことの重要性が共有されました

    最後に、日本国際湿地保全連合の星野一昭会長が身近な水との関わりを考えることで、湿地の保全に繋げたいと述べ、シンポジウムを締め括りました。