SDGsを生かした地域づくりを議論

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  • 2017年1月17日     東京

    2016年12月15日、UNU-IASは環境省とともにシンポジウム「持続可能な地域づくりと企業や自治体のパートナーシップ~SDGsを活かした取組事例~」を開催しました。イベントでは、持続可能な開発目標(SDGs)の実現のために行う地域の取り組みが紹介されました。また、企業や自治体とのパートナーシップのあり方や、今後のSDGsの具体的な実践に向けた課題について議論が行われました。

    開会挨拶では、奥主喜美環境省総合環境政策局長に続き、竹本和彦 UNU-IAS所長が登壇しました。SDGsの達成のため、ビジネスの本流に新しい可能性を見出せるような真剣な行動を推進していく重要性について語りました。また、国連大学が環境省と協働し、20周年を迎えた地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)についても、今後、より重層的で幅広いパートナーシップ展開を行っていくとしました。

    株式会社大和総研の河口真理子主席研究員が講演し、地域から世界とつながることができるという点で、世界の共通言語であるSDGsを地域創生に活用するのはとても有効だと指摘しました。そして、SDGs目標17にも明記されたパートナーシップは、地域創生の手段になると付け加えました。

    続いて、国内3地域から事例の紹介がありました。石川県金沢市からは、公益社団法人金沢青年会議所の塚本泰央副理事長が、金沢のブランド力向上の活動の一環として、水と衛生に関連するSDGs目標6に関連した取り組みを発表しました。企業との連携を通じ、自動販売機型募金といった仕組みを形にし、募金で集まった資金で途上国の安全な飲み水確保につなげていると説明しました。

    北海道の八雲町からは、SDGsを取り入れた町の総合計画作成について紹介がありました。この取り組みに関わったデロイトトーマツコンサルティング合同会社の田瀬和夫CSR・SDGs推進室長・執行役員は、地方が抱える問題は、ほぼSDGsでカバーされていると指摘し、理想的な形を持続的に回すための要素を、どのように連携し循環させていくか考える必要があると述べました。

    株式会社博報堂の川廷昌弘広報室CSRグループ推進担当部長は、宮城県の南三陸町での取り組み「森・里・海・ひと地域資源ブランド推進事業」を紹介しました。既存の地域資源を活用した新たなブランド・産業の構築が、SDGsの目標と関連しているとした上で、パートナーシップが最も重要であると強調しました。

    続いて行われたパネルディスカッションでは、蟹江憲史UNU-IASシニア・リサーチ・フェローがモデレーターを務め、松下和夫京都大学名誉教授・IGESシニアフェローと長谷川雅世特定非営利活動法人国際環境経済研究所主席研究員・フューチャーアース関与委員らも参加しました。企業や地域が、SDGsやパリ協定をそれぞれ解釈して戦略に組み込むこと、気候変動の分野でも、民間セクターや産業界の参画と連携が重要な要素として認識されていること、地域に暮らす人々がビジョンを共有しボトムアップのリーダーシップを発揮することなど、地域でのSDGsの実践や、企業や自治体の連携についてさまざまな視点から議論が深まりました。

    最後に、武内和彦 UNU-IAS上級客員教授が総括を行い、SDGsの活用には、主体的に自分たちなりの物語をつくることが大事であるとの認識が共有されたのではないかと指摘しました。