3つの環境課題気候、生物多様性、汚染へシナジーを発揮するアプローチを議論

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  • 2024年3月20日     東京

    Photo: Christian Brauneck / UNU-IAS

    2024年3月6日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けたシナジーアプローチに関するシンポジウムを共催しました。本イベントは、2024年3月4〜6日に行われた国際連合経済社会局(UNDESA)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局の専門家会合の一環として国連大学本部にて実施されました。 環境省の主催の元60名の専門家が会合に参加し、気候とSDGsのシナジーや国連持続可能な開発目標に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)2024に先立ちSDGs目標13(気候変動に具体的な対策を)の進展について議論しました。

    環境省地球環境局川又孝太郎国際連携課長が、開会挨拶を行いました。川又課長は気候変動、生物多様性の喪失および汚染の3つの環境危機に対して、シナジーを最大化しトレードオフを最小化するような統合的な解決策が重要であると話しました。

    また、UNU-IAS山口しのぶ所長は、脱炭素化が社会的な脆弱性や不平等に繋がりうる一方、新たな機会を創出しうることを指摘しました。また、公正な移行の実現には、ジェンダー、貧困および不平等などの課題に対応する包括的で戦略的な枠組みの策定を通した人間中心の気候行動が必要であると強調しました。

    続いて国連経済社会局バハレ・セヤディ持続可能な開発シニアオフィサーは特別メッセージにて、マルチステイクホルダーとの連携が持続可能な開発に向けた2030年アジェンダの鍵となると述べました。また、国連気候変動枠組条約事務局ダニエレ・ビオレッティプログラムコーディネーションシニアディレクターは、本会合が地球規模の課題への取り組みに関する最新の知見の共有のための様々なステークホルダーを巻き込んだ重要なプラットフォームであると述べ、さらにSDGとのシナジーを促進する議論が行われることへの期待を示しました。

    また、国際応用システム分析研究所(IIASA)名誉研究者、気候変動とSDGsのシナジーに関する専門家グループルイス・ゴメス・エチェベリ共同議長は基調講演にて、2022年7月に国連大学で開催された第3回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議と気候とSDGsのシナジーに関するグローバル報告書の結果を共有しました。エチェベリ共同議長は、持続可能な開発への行動を促進し、気候変動を打破するために、分野間のサイロの打破、科学的知見を基にした行動の強化およびマルチステークホルダー間の対話が重要であるとを強調しました。

    パネルディスカッションでは、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ (IPSI)など複数のセクターが主導するシナジーアプローチの例を紹介しました。モデレーターを務めた公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)武内和彦理事長は、科学的知見に基づく議論、マルチステークホルダーの参画およびグローバルサウスに留意した気候行動の重要性を強調しました。

    UNU-IAS竹本明生プログラムヘッドは、食料システムにおける温室効果ガスの排出量、重要鉱物の採鉱がもたらす社会的影響について話しました。竹本プログラムヘッドは、データ整備、パリ協定の下透明性を実施する際の管理の必要性を強調し、これらの課題に対応するための国際的な枠組みの必要性を指摘しました。

    本シンポジウムは、UNU-IAS、環境省および公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)が共催しました。