持続可能な都市自然のためのネイチャー・ポジティブな解決策についてシンポジウムで議論

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  • 2023年3月15日     金沢


    2023年3月5日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、シンポジウム「ネイチャー・ポジティブな解決策:金沢の気候変動対策と持続可能な都市自然モデル」を開催しました。本イベントでは、2022年国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(UNFCCC COP27)と国連生物多様性会議 2022(CBD COP 15)での成果、および気候変動に対する自然を基盤とした解決策として緑地を推進する金沢市の取り組みを紹介しました。本シンポジウムは、UNU-IASいしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)の主催で行われました。

    開会挨拶にて、UNU-IASの渡辺綱男シニアプログラムコーディネーターは、「ネイチャー・ポジティブ」なアプローチの目的が「生物多様性を維持する」ことではなく「生物多様性を回復させる」ことであると説明しました。そしてOUIKが設立15周年を迎える今年、このような国際シンポジウムを開催できることに感謝を述べました。

    金沢市の村山卓市長は、気候変動対策と生物文化多様性の保護に関する金沢市の「ゼロカーボンシティー宣言」を紹介し、市民の意識向上と持続可能性に向けた更なる取り組みの促進を目指すと述べました。

    基調講演では、公益財団法人 地球環境戦略研究機関 (IGES) の武内和彦理事長が、気候変動や生物多様性の損失といった国際課題に対する地域の行動に関する発表を行いました。そして、生物多様性と気候、人間社会は密接に関係しているため、効果的なガバナンスを通じたコベネフィット(一つの対策が複数の利益につながること)の最大化とトレードオフ回避が重要であると指摘しました。

    ストックホルム大学ストックホルムレジリエンスセンターのトーマス・エルムクヴィスト博士は、都市における生態系サービスの最近の傾向について論じた上で、都市自然における持続可能性とレジリエンス(回復力)という概念への考察を共有し、回復力のある都市構築の実践例を紹介しました。

    続くパネルディスカッションでは、気候と生物多様性間のシナジー(相乗効果)、都市自然の恩恵、ヒートアイランド現象の軽減、日本の若者による持続可能性への取り組みについて意見が交わされました。一般社団法人SWiTCHの佐座マナ代表は、教員に対して持続可能性に関する教育を行うとともに、行動変容を促すために変化を可視化するための指標を作成することが重要だと強調しました。

    閉会挨拶において金沢大学の中村浩二名誉教授は、気候変動、少子高齢化、過疎などの問題に対処するためには、オープンな対話を促進するとともに日本の若者を力づけることが必要であると強調しました。