第3回開催:ウェビナー:SDGs先進企業の「パーパス経営」について対話しよう!

, ,

ニュース
  • 2022年2月16日     オンライン(JST)


    2021年12月16日、国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG-UP)と SDG企業戦略フォーラムの共催で、企業が自らの「パーパス経営」について学生と対話するオンラインセミナーシリーズの第3弾が開催されました。最終回となる今回は、ユニクロやGUなど複数のブランドを世界中で展開する㈱ファーストリテイリンググループの執行役員である新田幸弘氏に講演していただきました。講演後は、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ教授の伊藤武志氏、SDG企業戦略フォーラム座長、前国連大学上級顧問の沖大幹氏、SDG大学連携プラットフォームチェア、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)所長の山口しのぶ氏が加わり、パネルディスカッションを行いました。

    新田氏は講演で次のように語りました。
    ファーストリテイリング社(FR社)は、現在26ヶ国に約3500店舗を展開しており、世界中の人々に良い服を着る喜びと満足を提供し社会の持続的な発展を目指しています。そして、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というコーポレートステートメント(企業理念)のもと、事業活動における環境負荷を最小限に抑え、人権や健康・安全が守られたサプライチェーンの構築や循環型商品の開発などに取り組んでいます。その中で、生活をより豊かにする高品質で快適な「究極の普段着」という意味のビジネスコンセプトである「LifeWear」を創造し、それ自体をサステナビリテイと考え、人権や労働環境に配慮したオペレーションを取り入れています。2001年の社会貢献室の設立以降、様々な貢献活動に取り組み、2016年には部署名をサステナビリティ部に改編し、人権方針やサステナビリティ方針の改定を行いました。サステナビリティの様々な課題に対応した貢献活動を国内全てのビジネス拠点で行い、ビジネスの拡大とサステナビリティの取り組みの同時強化を実行しています。さらに、支援を必要としている人、国・地域、団体に対し、そのニーズを自社で見極め、難民支援、緊急災害支援、次世代支援などを行っています。また、様々な国際機関とパートナーシップを組み、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と共同で行う難民支援では、これまで79の国や地域に4600万着以上を届けてきました。難民キャンプへの服の寄贈は、実際に現場に行き現実を見るという重要性を尊重し、FR社の社員も参加しています。2025年には、難民や社会的弱者のさらなる支援、世界中のすべての店舗が地域貢献活動に参加することを目標としています。
    講演の最後に新田氏は、常に世界一を目指す中で、「自らの事業を通して社会をよくすること、そして世界で1番必要とされる会社になる」ことを、1人1人が自分ごととして意識し使命感を持って実行していくことが大切である、と強調しました。

    その後、沖座長をモデレーターとして、パネルディスカッションに移りました。まず、大阪大学の伊藤教授より、パーパス経営の学術的な解説が行われました。伊藤教授は、パーパスとは、人が生きる意味であり、今こそパーパス経営を通して「誰一人取り残さない」「すべてのいのち輝く未来社会」を本気で目指すべきであると述べました。多くの企業が、その理念として「公器性」をうたっており、売り手として、買い手、世間、社会に奉仕し、人々に平和な生活を確保することを目指していると述べました。そして、継続して「みんなのためになり続ける」こと自体が販売先、仕入れ先を巻き込み包摂的なビジネスを成立させ、社会全体がよくなっていくと指摘しました。大切なことは、パーパス経営の意義を、社員一人一人が理解し、やりがいを持って行動することであると強調しました。その後は、新田氏、山口所長も加わり、参加者との活発な質疑応答が行われました。

    最後に、これから社会に出ていく学生たちに対し、伊藤教授から「社会的にパーパス経営が広がり理想論を言っても否定されない世の中になってきたので、パーパス経営を自らのやりがいとして頑張っていただきたい、また、パーパス経営を掲げている企業に足りない点があっても批判せず寄り添って成長を見守って欲しい。」、山口所長より、「謙虚さを美徳とする日本文化の中で今の若者世代は以前よりも遠慮しがち。世界の他の国々と比較しても日本の高等教育はレベルが高く、大学生の皆さんは大変高度な知識を学んでいる。そのことに自信を持って、社会に出て大いに発言し積極的に行動して欲しい。」とのメッセージが寄せられました。講演を行った新田氏は、「日本の若い世代の方々は、大変能力が高く可能性を持っており、もっとグローバルに売って出て欲しい。課題があるということは解決するためのチャンスがあるということ、自分で考え、能力を磨き、チャレンジすることを応援したい。我々も頑張って責任を尽くして行くので、皆さんも希望を持って頑張ってください。」と述べました。そして、沖座長が、「環境も守り社会を変えつつビジネスをすることが、どうやったら実現できるかを考え、すでに実行している会社があるという一例をお届けできたと思う。FR社のような会社に入りたくても就職できなかったら、自分で会社を作って世界一を目指すという心意気を持った若い方々の行動が日本や世界のためになるということが実感できました。」と、最終回のセミナーを締めくくりました。

    過去のセミナー紹介

    • 第一弾セミナーの報告はこちら
    • 第二弾セミナーの報告はこちら