韓国にて、生物多様性保全のための伝統的農業システムの役割を議論

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  • 2014年10月20日

    UNU-IAS いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)は、韓国国立農業科学院 とともにピョンチャン(韓国)で開催されたCOP12のサイドイベントとして伝統的農業システムと生物多様性を開催しました。

    このイベントでは、伝統的農業システムがどのように生物多様性保全に貢献し、また、持続可能な開発に向けた役割を担えるかが議論され、約120人が参加しました。

    安玉善韓国農村振興庁国立農業科学院農業環境資源課長による開会挨拶の後、武内和彦国連大学上級副学長が農業の生物多様性の重要性に触れ、伝統的農業システムがそこに果たす役割を説明しました。FAOのジェシカ・サンダース氏からはFAOが進めている世界農業遺産(GIAHS)の取り組みが生物多様性条約の枠組みの中で果たす意義、金尙範韓国農村振興庁国立農業科学院農業環境部研究官からは韓国における伝統的農業システムと環境保全の取り組みの全体像を紹介いただきました。実際のGIAHSサイトの例として、日本からは堀畑正純石川県農林水産部長が石川県の「能登の里山里海」の例を、康承鎭韓国済州特別自治道済州発展研究院研究官が済州島の「石垣農業システム」の例を発表しました。

    イヴォーン・ユー(UNU-IAS)がモデレーターを務めた質疑応答セッションでは、GIAHSの取り組みが生物多様性保全だけでなく農村地区の持続可能な生計や景観保持にも貢献するのではないかと参加者から指摘がありました。また、このサイドイベントで紹介した伝統的農業システムを含む持続可能な農業モデルの意義がより広く一般の理解を得、生物多様性保全における役割がさらに認識されるべきとの意見も出されました。

    今回のサイドイベントは、国連大学が生物多様性保全のための農業分野における持続可能な開発に関する研究の一環として、伝統的農業システムのテーマで、2010年名古屋(日本)で開催されたCOP10から2012年のハイデラバード(インド)COP11を経て継続して開催してきているものです。今回のピョンチャンでの開催にあたっては石川県やFAOにも共催者として多くのご支援を頂きました。