国連大学40周年記念シンポジウムにて、2030アジェンダにおける「地球の限界」の重要性が指摘される

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  • 2015年11月25日     東京

    Photo: C Christophersen/UNU

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    2015年11月6日、国連大学40周年記念イベントの一環として、 国連大学特別シンポジウム「持続可能な開発のための2030アジェンダの実施に向けて」が開催されました。2015年9月に国連加盟国より2030アジェンダが採択されたことを受け、国際社会が今後、この17にのぼる持続可能な開発目標(SDGs)を達成するうえで直面すると思われるさまざまな課題について議論が交わされました。

    デイビッド・M・マローン国連大学学長と日本政府関係者による開会の辞では、これまでの40年間にわたる国連大学の貢献および今後の役割などが述べられました。マローン学長は「国連大学がその本部を日本に置いてきたことは、国連大学にとって非常に幸運であった」と強調し、日本政府の国連大学への支援と協力に対して、改めて感謝の意を表明しました。

    最初の基調講演では、2015年コスモス国際賞を受賞したヨハン・ロックストローム氏(ストックホルム・レジリエンス・センター所長) が登壇し、地球には人類の繁栄のための条件が設定されており、地球の限界(planetary boundaries)に関する概念が、2030アジェンダにおいて死活的に重要な要素であったことを強調しました。またロックストローム氏は、私たちは科学を通して、地球の限度内で成長と繁栄を享受できるような新たな道筋を見出してきたとを述べました。

    次に登壇した石井菜穂子氏(地球環境ファシリティCEO兼議長)は、SDGsを達成するためには主要な経済システムの変換が必要であるとして、地域共同体・企業・国家など、さまざまな立場の人々によるできる限り広範囲の「有志連合」を構築するよう、呼びかけました。

    続いて、武内和彦国連大学上級副学長の司会によるパネルディスカッションが行われると、浜中裕徳氏(財団法人地球環境戦略研究機関理事長)は、各国内においてトップダウンとボトムアップのアプローチを組み合わせることが必要であると指摘し、SDGsの実施におけるガバナンスの重要性を強調しました。また、杉村美紀氏(上智大学学術交流担当副学長、教授)は、SDGs履行に向けた教育の役割として、SDGs達成への基盤となる文化的連携を提供するとともに、多様な立場の人々によるプラットフォームとして貢献しうることを指摘しました。長谷川雅世氏(フューチャー・アース関与委員会委員、トヨタ自動車株式会社環境部担当部長)は、ビジネスが社会と密接な利害関係を持つことから、2030アジェンダの履行における民間部門の役割を検討し、持続可能な世界への移行は大きなビジネスチャンスでもあると述べました。

    参加者を交えた議論では、SDGsの実施における科学の役割、2030アジェンダの普遍性、平等および各国の責任など、さまざまな問題が取り上げられました。パネリストは、先進国・途上国との間の協力を強化しながら、グローバルな目標を各国々とその中の地域の目標へと適切に変換していく必要性を強調しました。

    本シンポジウムの開催報告書およびスピーカーの発表資料はこちらからご覧いただけます。

  • ヨハン・ロックストローム 発表資料

    (12.9 MB PDF)

    石井菜穂子 発表資料

    (941.5 KB PDF)

    杉村美紀 発表資料

    (985.9 KB PDF)

    長谷川雅世 発表資料

    (4.1 MB PDF)

    開催報告書

    (430.8 KB PDF)