第64回比較国際教育学会でのパネルセッション(遠隔会議)を開催

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  • 2020年4月23日

    UNU-IASは2020年4月8日、UNESCOバンコク事務所及びUNESCO生涯学習研究所との共催により、第64回比較国際教育学会(CIES2020)でのパネルセッションを遠隔会議として開催しました。セッションには約100人が参加し、CIES2020のテーマである「人類を超えた教育の在り方」を踏まえて、教育の再構築を通じて生み出される本質的な変化についての議論が展開されました。気候変動や生物多様性の損失といった地球環境問題に対応するためには、本質的な行動の変化が求められています。教育は、こうした意識改革実現への入り口の役割を果たします。困難な課題に対応するためには、従来のアプローチを超え、教育の再構築を行うことが急務です。

    本セッションでは、山口しのぶUNU-IAS所長が座長を務め、4名の専門家による発表と討論が行われました。
    マーク・マンUNESCOバンコク事務所アソシエイト・プログラム・スペシャリストは、学習者の心身の発達を重視し育む様々な教育手法がある中で、これらを取り入れたUNESCOのHappy Schoolプロジェクトについて発表しました。特に、アジアの3ヵ国で実施されたパイロット調査の結果から、幸福と教育の質は密接不可分であることや、学習者は、変化を起こす主体として、公平・公正で持続可能な社会の構築に貢献し得ることが強調されました。
    瀧口博明UNU-IASプロジェクト・ディレクターは、学校教育の枠を超えて持続可能な開発のための教育(ESD)を推進する、マルチ・ステークホルダー・アプローチを紹介しました。具体的には、UNU-IASがグローバル・サービス・センターの事務局を務める国連大学認定ESD地域拠点(RCE)の活動を例に、複数のステークホルダーが集うことにより地域において相乗効果が生まれ、的確な意思決定や質の高い行動が実現していることを明示しました。
    イヴォーン・ユー
    UNU-IASリサーチ・フェロー は、生物多様性の保全の観点からコミュニティを基点とした学習や行動を促す、SATOYAMAイニシアティブを取り上げました。その事例として、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS、注:里山を学術的に表現した専門用語)の再生や保全における、コミュニティを基点とした学習が紹介されました。本質的な変化のためのステップとしては、構造、行動、意識の3点を強調しました。
    ジョンウィ・パクUNESCO生涯学習研究所プログラム・スペシャリストは、情報通信技術スキルの単純な向上を目指すことを超えて、子供や若者をデジタル市民として育てることを目的とした、UNESCOのアジア太平洋デジタルキッズプロジェクトに焦点をあてました。発表では、アジア太平洋地域4ヵ国の5,000人以上の生徒を対象にした調査の結果から、デジタルに関する創造やイノベーションの点で進歩が遅れていることや、情報格差がデジタル市民としての能力に影響を与える点が指摘されました。

    発表後の討論では、林川真紀UNESCOバンコク事務所 Inclusive Quality Education ユニットチーフが、パネルを統括するコメントを述べました。林川氏は、COVID-19という共通の脅威に世界が直面している現在、4名の専門家の発表に於いて多様なアプローチが示されたのはタイムリーであったこと、コロナウィルスへの対応を機会に、教育制度やその概念を再構築し、本質的な変化につなげていくべきであることを指摘しました。参加者との討論では、Happy School事業の成功の秘訣、RCEの活動に関する課題、SATOYAMAイニシアティブにおける人間と環境との関わりおよび今後の在り方などが取り上げられました。また、デジタルキッズ事業に関しては、成人のデジタルスキルに関する比較研究の重要性も指摘されました。

    山口所長は、結びの言葉として、今後、本質的な変化とパラダイムシフトを起こし、持続可能な地球を実現するためには、教育を大胆に見直していくことが極めて重要であると述べました。

    セッションでの発表資料(英語)は、関連ファイルタブからダウンロード可能です。

  • Mark Manns (UNESCO Bangkok)

    (2.7 MB PDF)

    Hiroaki Takiguchi (UNU-IAS)

    (1.4 MB PDF)

    Jonghwi Park (UIL) & Jian Xi Teng (UNESCO Bangkok)

    (1.7 MB PDF)

    Evonne Yiu (UNU-IAS)

    (2.9 MB PDF)