UNU-MERITとの共同研究で、年齢に配慮した国内避難民に対する恒久的解決策の必要性を強調

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  • 2016年5月16日     東京

    国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)と国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(UNU-MERIT)の共同研究の成果として、モシニャガ アンナ(UNU-IAS、研究員)とミカエラ ヴァノーレ(マーストリヒト大学/UNU-MERIT、研究員)が執筆した論文『An Age-Sensitive Approach to Durable Solutions(年齢に配慮した恒久的解決策へのアプローチ)』が、査読審査のある学術誌Forced Migration Reviewの2016年5月号に掲載されました。

    本論文では、国内避難民の年齢などがわかる詳細なデータが不足していることから、高齢の避難民が見落とされがちであることをふまえて、紛争や災害に起因する強制移動が高齢者に及ぼす影響に着目しています。 とくに高い高齢化率で知られている日本とグルジアにおける国内避難民の事例をもとに、高齢者のための恒久的解決策を打ち出す際の課題について分析しています。日本では2011年の東日本大震災と福島第一原発事故がもたらした避難状況、そしてグルジアでは1991年~1992年のアブハジアとオセチアの分離独立紛争や、2008年のグルジア・ロシア戦争に端を発する避難民の状況を取り上げています。

    本論文の結論では、恒久的解決の模索においては高齢者は根本的に異なるグループであるとしたうえで、年齢に配慮した解決策への手法を打ち出すための提言を行っています。また、被災者を構成するさまざまな住民層の特定のニーズと脆弱性を捉えるため、年齢に配慮した恒久的解決を打ち出すための避難民の詳細なプロファイリングが重要であると訴えています。