国際生物多様性の日2021シンポジウムを開催

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  • 2021年6月1日

    2021年5月20日、国連大学サステイナビリティ高等研究所は、環境省、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)とともに、「国際生物多様性の日2021シンポジウム-私たち自身が解決の鍵-」を開催しました。このシンポジウムには、198名が参加しました。 さらに、本シンポジウムと連動し、GEOCにおいてオンライン展示「生物多様性のなかで生きる」、OUIK主催の「金沢生物文化多様性バーチャルツアー」が開催されました。

    冒頭、主催者挨拶で登壇した笹川博義環境副大臣は、社会変革を進める必要性を強調し、2010年に議長国として愛知目標を採択した日本の経験やSATOYAMAイニシアティブで得られた経験を生かし、次の国際目標の議論に積極的に貢献していきたいと述べました。 続いて、UNU-IAS竹本明生プログラムヘッドが登壇し、世界が新型コロナウィルス感染症という大きな課題に対応する中で、生物多様性や気候変動といった国際目標を達成するためには、目標間のシナジーを追求する必要性があると述べ、UNU-IASの研究プロジェクト間の連携強化を通じて国際目標達成に貢献したいと述べました。 生物多様性条約事務局のエリザベス・マルマ・ムレマ事務局長は、本イベントの開催について謝辞を述べ、生物多様性の分野において主導的な役割を果たしてきた日本とともに、次の世界目標の達成に向けても共に歩みを進めたいと述べました。

    基調講演では、武内和彦国連大学サステイナビリティ高等研究所客員教授が、生物多様性の国際動向について解説しました。武内氏は、生物多様性を回復させるためには、私たち自身が解決の鍵となり、ライフスタイルを見直し、SDGs、生物多様性、気候変動など、様々な目標を同時に達成するアプローチを取る必要があると強調しました。さらに、人々の健康と地球の健康は1つであるという「ワンヘルス」の考え方を紹介しました。 続いて、河村玲央環境省自然環境局生物多様性主流化室長が、国内動向を解説しました。河村氏は、生物多様性及び生態系サービスの総合評価(JBO3)の概要を紹介し、生物多様性の喪失を回復させるために、社会全体の変革が必要であると話しました。また、企業活動において、生物多様性における取り組みが拡大していることを紹介し、今後も様々な主体と連携しトランスフォーマティブチェンジを起こしていきたいと述べました。

    続いて GEOCの星野智子氏がモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、冒頭4名の専門家が活動を紹介しました。 国連食糧農業機関(FAO)のスコット・ニューマン氏は、包括的なワンヘルスプログラムについて解説し、医療分野だけでなく、天然資源、生物多様性の分野の専門家や省庁が十分関与し、より良い復興や次のパンデミックの防止につなげることが重要だと話しました。 UNU-IASリサーチフェローの西麻衣子氏は、IASが事務局を務める国際SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)における取り組みの概要を述べ、IPSIメンバーの活動事例からは、社会変革の種となる取り組みが出てきていると紹介しました。 UNU-IAS OUIK 研究員のフアン・パストール・イヴァールス氏は、金沢を例に高齢化や人口減少が地域の自然や文化の保全に与える影響について解説し、都市に自然を取り戻し、地域の回復力を向上さるための研究である持続可能な都市自然プロジェクト(SUNプロジェクト)について紹介しました。 特定非営利活動法人EnVision環境保全事務所(RCE北海道道央圏)の工藤知美氏は、生物多様性保全のためのエビデンスに基づいた計画・評価の促進について解説し、事例を用いて、GISを活用し可視化・解析した情報を共有することで行動変容につながると話しました。パネルディスカッションでは、GISの活用事例や、政策の統合には政治的支援を得ることの重要性や、国際的な目標を地域に落とし込み、事例から政策につなげ、生物多様性保全のアクションをこれまで以上にパートナーシップを促進させ実施していく必要性が共有されました。

    最後にUNU-IASシニア・プログラム・コーディネーターの渡辺綱男氏が、2021年から2030年が生態系回復の10年であることについて触れ、生態系の回復を進める中で、レジリエントで持続可能な社会を構築していくことが強く求められており、国連大学も共に今後の10年のアクションを進めていきたいと述べシンポジウムを締め括りました。

    当日の資料はページ上部の「関連ファイル」タブよりご確認いただけます。
    また、動画はGEOC YouTubeチャンネルからご確認いただけます。

  • 1 IDB Symposium_Keynote_Takeuchi

    (4.8 MB PDF)

    2 IDB Symposium_MOE_Kawamura

    (2.2 MB PDF)

    3 IDB Symposium_Newman

    (2.3 MB PDF)

    4 IDB Symposiym_UNU-IAS_Nishi

    (4.8 MB PDF)

    5 IDB Symposium_Juan

    (2.5 MB PDF)

    6 IDB Symposium_EnV_Kudo

    (2.0 MB PDF)