水を取り巻く課題を理解するーWater Styleサミット

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  • 2017年1月12日     東京

    Photo: UNU-IAS

    Photo: UNU-IAS

    2016年12月5日、UNU-IASは環境省、CDPとシンポジウム「Water Styleサミット with CDP 2016ウォーター日本報告会」を開催しました。健全な水循環の維持や回復のため、さまざまな組織が取り組む活動について情報共有するとともに、多様な視点で議論し、水を取り巻く課題への理解を深めました。

    高橋康夫環境省水・大気環境局長のあいさつに続き、竹本和彦 UNU-IAS所長が登壇しました。パリ協定の発効や持続可能な開発目標(SDGs)の採択といった国際社会の動向について触れながら、SDGs達成に向けて政府、個人のほか、企業、投資家など、多くの主体が結集した強固なグローバルパートナーシップが不可欠であると指摘しました。

    本イベントでは、まず、2016CDP のウォーター質問書に関する報告が行われ、A評価を受けた優良企業が紹介されました。そのうちの4社が、水を含む環境負荷低減に向けた長期ビジョン、工場や商品、地域との連携を通じた水リスクへの取り組みを説明しました。このほか、投資家や専門家によるパネルディスカッションも行われました。

    続いて、原田 秀樹東北大学未来科学技術共同研究センター教授が、「途上国の『水と衛生』下水処理の適正技術の開発」と題して基調講演を行いました。途上国の水処理に関する現状と、水環境汚染による健康への影響の深刻さ、またそれを改善するための途上国と連携した技術開発について説明しました。

    自治体による講演では、山梨県北杜市の担当者が、企業、市民、行政の連携による水を生かした地域活性化について紹介しました。また、神奈川県秦野市の担当者は、名水の保全と利活用に関する取り組みを発表しました。

    パネルディスカッションでは、「水から考えるSDGs目標にむけたそれぞれの Water Style」というテーマで議論しました。パネリストの一人だった竹本所長は、SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連するUNU-IASの取り組みを紹介しました。国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と協力して行う途上国支援に加え、国内でのさまざまな研究プロジェクトを通じて多くのステークホルダーを巻き込み、政策提言をしている点についても言及しました。

    最後に、末吉竹二郎CDPジャパンチェアマンが、水問題を特定地域の特定問題ではなく、グローバルな課題として認識し、ビジネスや施策に反映させていくことが重要であると述べ、シンポジウムを締めくくりました。