気候変動レジリエンスの構築へ女性の参画を呼びかける

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  • 2024年2月14日     東京

    Photo: Financial Times and Nikkei Inc

    2024年2月8日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)山口しのぶ所長は、日本の災害リスクを軽減するための気候変動レジリエンスの構築に関するセッションへパネリストとして登壇しました。本セッションは、ハイレベル会議モラル・マネー・サミット・ジャパン:よりグリーンで公平な世界へにおけるパネル討論の一つとして行われました。本会議はフィナンシャル・タイムズのグローバルイベント部門であるFinancial Times Liveが主催、日本経済新聞社の共催にて実施されました。

    セッションでは日本経済新聞社古賀雄大ESGエディターがモデレーターを務め、鹿島建設株式会社福田孝晴専務執行役員、ブルーイノベーション株式会社熊田貴之代表取締役社長が気候と災害リスクのレジリエンス(回復力)についての洞察を共有しました。また、WWFジャパン東梅貞義事務局長と山口所長はそれぞれ市民社会や国際機関の視点を紹介しました。

    山口所長はジェンダーに関連した気候変動や災害の影響の視点を共有しつつ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けてはネットゼロへの公正な移行や「誰一人取り残さない」という理念が重要であることを強調しました。また国際労働機関(ILO)の調査より、アジア地域において2030年までに気候変動の緩和策を実行するためには1億4000万人のリスキリング(技能の再習得)が必要であることを指摘しました。

    また山口所長はUNU-IASの気候変動に起因した移住に関する研究を紹介し、移住や避難を余儀なくされた人々に対して教育を確保することが重大な課題であると強調しました。また、2008年から2020年の間に気候関連の移住の80%がアジア太平洋地域で引き起こされた点を指摘しつつ、本地域へより目を向ける必要があることを話しました。加えて、T7イシューペーパー Think7 Issue Paper: Integrated Approach for Well-being, Environmental Sustainability, and Just Transitionを紹介し、2018年において多くのOECD加盟国のエネルギー産業における女性の割合が20%程度に留まっているとのデータをを取り上げ、女性の気候行動への参画がまだ途上であることを指摘しました。さらにErnst & Youngの調査より管理職への女性の登用が進んでいる企業ほど再生エネルギーの導入により熱心であることも取り上げました。

    最後に、山口所長は気候変動の議論においてはSDG目標13(気候変動に具体的な対策を)、14(海の豊かさを守ろう)および15(陸の豊かさも守ろう)が着目されるが、公正な社会への移行に向けてはSDGsの目標全てに目を向けた総合的なアプローチが必要であることも強調しました。