2020年7月13日 ニューヨーク
国連持続可能な開発目標(SDGs)の2030年までの達成を目指して国連事務総長によって呼び掛けられている 行動の10年(Decade of Action)を支援するため、2020年7月9〜10日にオンライン会議が開催されました。UNU-IASは、世界各国からの参加大学と共に、本会議での議論に参加しました。世界の主要な大学は知識を深め集積する場として、SDGsの達成を後押しする独自の役割を担っています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大によって、特に弱い立場にある人々がその影響を被り、この数十年間で達成されてきた持続可能な開発の成果が台無しにされかねない危機に瀕する今、大学の果たすこの役割は、いまだかつてないほどに重要なものとなっています。
本会議は、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)がロックフェラー財団およびコロンビア大学の協力を得て開催しました。会議には、65ヶ国以上から200校以上の大学が参加しました。参加者には、大学の学長・副学長や国連のシニア・リーダーなどが含まれています。
議論の中では、SDGs達成に向けての大学の活動が取り上げられました。また、大学が、独立した機関として、私たち人類にとっての新局面を開く上で果たすこととなる役割についても話し合われました。大学は、持続可能な社会への転換を担う未来の市民、指導者、国際的に活躍する人材を育てる場であるべきです。登壇者達はとりわけ、誰一人取り残すことのない、より包括的な社会を築くために大学が果たすべき機能を強調しました。また、人類が直面している困難な状況に対応すべく、大学が社会の中での要請に応えていくことの重要さを指摘しました。そのためには、知を集結させ、教育機関を再構成するための新たな方法を見つけ出すことが必要となります。
山口しのぶUNU-IAS所長は、「COVID-19後の世界における高等教育の未来」と題するパネルディスカッションに登壇しました。山口氏は、世界がCOVID-19と共にある「新しい常態(ニュー・ノーマル)」に適応する中でSDGsを達成することには、あらゆる段階において今までにない試みを必要とすると強調しました。また、高等教育は、SDGsを進展させる上で決定的な役割を果たすものであると指摘すると共に、それは、私たちが身を置く新たな現実と折り合いをつける形でなければならないと述べました。
山口氏は、UNU-IASから特に伝えたいこととして、以下の3点を挙げました。
上記の取り組みを、UNU-IASは、政策を中心に据える研究、および教育・生物多様性・ガバナンス等の分野で構築している人的・情報面での繋がりを通して実践しています。実施している事業には、ProSPER.Net(アジア太平洋環境大学院ネットワーク) およびSATOYAMA イニシアティブが含まれます。
また、本年(2020年)、UNU-IASは「SDG大学連携プラットフォーム 」と名付けた革新的な事業を創設します。これは、日本の大学での研究・教育活動におけるSDGs推進を強化することを目的とする取り組みです。
また、国際連合大学は、12カ国におよぶ14の研究所やプログラムに所属する研究者の英知を集積し、研究者達が取り組んでいるCOVID-19に関連する研究 および SDGs達成を目指す研究の紹介を行なっています。
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本会議に続き、 2020年7月15日に開催された高等教育サステイナビリティ・イニシアティブ(HESI)円卓会議では、今後取るべき方策についての議論が深められました。