ワークショップで開発途上国における産業スキル開発ついて議論

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  • 2022年3月18日

    2022年2月28日にオンラインで開催された「開発途上国における産業スキル開発:教育、スキル需要と生産性」と題したワークショップでは、世界各国から57名が参加し、開発途上国におけるスキル開発について議論しました。技術・職業教育訓練(TVET)の機会と課題、特にそれぞれの仕事の文脈で必要とされるスキルの構成要素に焦点が当てられました。本イベントは、名古屋大学の「SKYプロジェクト」の一環として、名古屋大学とUNU-IASの共催で開催されました。

    UNU-IASの山口しのぶ所長は開会挨拶にて、グローバル化した知識経済における産業スキル開発の必要性が高まっていることを強調し、UNU-IASと名古屋大学のSKYプロジェクトとのこれまでの協力関係について紹介しました。

    パク・ジョンウィー博士(UNU-IAS、イノベーションと教育プログラムヘッド)は、SDGs達成におけるスキル開発およびTVETの役割について概要を説明しました。持続可能な経済・社会開発にとってTVETの分野の重要性まがすます高まっている一方、資金不足、カリキュラムと産業界のニーズとのミスマッチ、スキルを教えるための時代遅れな教育手法などの課題に直面していることを強調しました。パク博士は、これらの問題に取り組んでいる各国の革新的なアプローチを紹介するとともに持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点(RCEs)の事例を紹介し、UNU-IASによる地域レベルの革新的で持続可能なスキルの向上と促進について説明しました。

    山田肖子博士(名古屋大学)は、個人が獲得するスキルというレンズを通して、その向上における課題について言及しました。山田博士は、スキルのミスマッチが起こるメカニズムや、それを特定する方法について説明しました。また、学校教育やスキルが個人の労働市場経験に与える影響の違い、COVID-19危機によるスキル開発への新たな要求についても解説しました。博士は、垂直的・水平的なスキルのミスマッチが存在すると説明した上で、TVETへの投資を増やすだけでは解決できない点を指摘し、スキルを多角的に理解し、エビデンスに基づく議論を通じてギャップの性質を正確に特定することが重要であると述べました。

    これらのセッションに続き、クリスチャン・オチア博士(名古屋大学)と近藤菜月氏(名古屋大学)が、エチオピアとガーナでSKYプロジェクトの一環として収集したデータから得られた知見を発表しました。本プロジェクトでは、職場環境における知識やスキルを測定するためのフレームワークを設計し、時間や国を越えて比較可能なスキルに関する情報を収集しました。エチオピアに関する議論では、雇用適正の高いスキルの重要性に関するTVETの教員と学生の間の認識の齟齬に焦点を当てました。大きな認識の齟齬は、主に労働市場における直接的な体験と教育訓練システムの有効性に起因していました。ガーナに関する研究は、フォーマル(公式)・インフォーマル(非公式)の両セクターにおけるスキルの役割に着目しました。一般的に、フォーマル・セクターの労働者は平均的に高い給与を得ており、報酬のばらつきも少ない一方で、インフォーマルな労働者の賃金には大きなばらつきが見られます。本研究では、実務的なスキルや性格の違いにより、両セクター間の賃金の相違点を説明できることが示されました。

    最後のセッションでは、チャロエンシルプ・ピンマダ氏(名古屋大学)が、SKYプロジェクトで開発したゲームを基本としたトレーニング手法を紹介し、ソフトスキルの構築方法について発表しました。本プロジェクトでは、宣言的知識(declarative knowledge)と手続き的知識(procedural knowledge) の違いを明らかにすることによって、行動モデルトレーニングとゲームを組み合わせたソフトスキルのトレーニング・モジュールを開発しました。最も影響力のある要素は、学習したスキルを実生活で実践・応用する機会の有無でしたが、ゲーム化したモジュールは、無限の創造性によって、類似した場所、出来事、無形の概念を作り出すことが可能です。

    対話型セッションでは、参加者から寄せられた質問を中心に、スキルトレーニングに移行する前に学習者が基本的なスキルを身につけるための基礎教育の重要性や、学習者が働き始めた後でも基本的な知識を得ようとするオープンな態度 などのソフトスキルについて議論されました。SKYプロジェクトの研究者は、規範の押し付けを避け、参加者が実践を通して必要なスキルを身につける機会を提供するというアプローチを紹介しました。

    当日の発表資料は「関連ファイル」タブよりご覧いただけます。

  • "Opportunities and Challenges of Skills Development – Why Do We Need Evidence-based Decisions?" by Shoko Yamada (Nagoya University)

    (2.9 MB PDF)

    "Framing Presentation – Skills Development and Sustainable Development Goals: Issues and Trends" by Jonghwi Park (UNU-IAS)

    (1.9 MB PDF)

    "What Can We Learn from the Multi-Dimensional and Multi-Stakeholders Data? Insights from Ethiopia" by Christian Otchia (Nagoya University)

    (706.1 KB PDF)

    "What Can We Learn from the Multi-Dimensional Data? Comparative Analysis of the Formal and Informal Garment Sector Workers in Ghana" by Natsuki Kondo (Nagoya University)

    (269.6 KB PDF)

    "Non-Conventional Soft Skills Training Intervention for Garment Factory Workers – How Do We Train Soft Skills?" by Pimmada Charoensilp (Nagoya University)

    (1.2 MB PDF)