金沢の自然と文化の関係性、生物多様性政策につなげられる

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  • 2015年8月31日     石川県金沢市

    2015年7月25日から26日、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット(OUIK)は、金沢市と金沢大学との合同で第1回生物文化多様性ワークショップ「海外の視点からみた金沢の自然と文化」を開催しました。

    金沢市は今年、「生物多様性地域戦略」の策定を目指しています。この戦略には、OUIKがこれまで研究会を通じて検討してきた「生物多様性と文化多様性のつながりを守る」という視点が盛り込まれる予定です。

    この戦略作りに貢献するため、本ワークショップは、金沢の自然と文化の特徴を諸外国の比較のなかから描き出すことを目的として開催されました。当日は、金沢大学の留学生、金沢市国際交流員など、延べ9ヶ国からの出身者が参加しました。

    はじめに、金沢市の担当者から、生物多様性と文化多様性のつながり、文化行政の歩み、伝統工芸の現状と政策展開について紹介がありました。また、自然との近しさが、金沢の都市文化を支えてきたことも紹介されました。

    江戸時代には、加賀藩前田家によって文化学術振興に重きがおかれ、茶の湯文化を支える工芸品や伝統技術が金沢の市民生活に根付いていました。金沢市ではこの価値感を次世代に受け継ぐために、子どもたちや若い世代が伝統文化を学び、継承していくための政策に力を入れています。

    OUIK-map-cover留学生を交えたフィールドワークでは、金沢美術工芸大学教授の鍔隆弘氏により、金沢城の植生・石の利用・庭園などの景観特性・町並みと用水や微地形の関係について解説されました。

    また、OUIK飯田義彦研究員からは、OUIKが2015年5月に発刊した地図冊子「地図情報から見た金沢の自然と文化」を使って、 地図情報とフィールドの現場をつなぐ解説が行われました。

    さらに、フランス・ドイツ・インドネシア・マレーシア・ロシア・スロバキア・アメリカの事例も紹介され、諸外国と金沢の特徴を比較し、自然と文化のつながりとその豊かさを継承するための方策について議論が行われました。

    こうした議論のなかで、「公共交通の充実など、生物多様性とは直接に関連しないような都市政策が人の流れをつくるうえで重要だ」、「学生や外国人の視点も取り入れることが創造性につながる」、「食文化は世界共通の文化の指標である」などの提案も生まれました。一連の成果はOUIKによる取りまとめを経て、金沢市の「生物多様性地域戦略」に活かされます。

  • 地域情報から見た金沢の自然と文化

    (12.5 MB PDF)