2014年5月14日
このUNU-IASレポートでは、2014年2月1日にニューヨークにて開催された国際ワークショップ「持続可能な開発目標:目標と実現のためのガバナンス(Governance ‘of’ and ‘for’ Sustainable Development Goals)」で得られた知見を基に、持続可能な開発目標(SDGs)のガバナンスのあり方を検討しています。
ポスト2015年開発目標をめぐる議論で鍵となるのが、限られた数のSDGsの策定であることは言うまでもありません。これに向けて、国連プロセスとして「SDGs策定に向けたオープン作業部会(Open Working Group on SDGs)」にてさまざまな議論が繰り広げられましたが、ガバナンスに関する議論については未だ深く掘り下げられていないのが現状です。
このような背景を受け、本ワークショップは国際的に著名な学者や政策決定者を含む約40名を巻き込み、SDGsの在り方、その実施と評価方法、そしてそのガバナンスを担保しうる国連機関の役割など、ガバナンスに関連する諸要素について実質的な議論を重ねました。なお、本ワークショップはUNU-IAS、地球システムガバナンスプロジェクト(Earth System Governance Project)、そしてPOST2015プロジェクト(S-11環境研究総合推進費「資源環境制約下の開発・成長の方向性と目標及び効果的なガバナンスの提示」)によって共催されました。
本レポートは、ガバナンスをSDGsの課題の中心的な要素としてとらえる必要性を強調しており、どれだけすばらしい目標やターゲット、またそのための資金メカニズムが合意されたとしても、各国内での施行方法や国際ガバナンスによるサポートやモニタリングのあり方がしっかりと検討されなければ、大きな制約を課す事になると提唱しています。
本ワークショップとレポートは、SDGプロセスにどのようにしてガバナンスを組み込むかに重点を置いている点に新規性があります。とりわけ、以下の5つの主要メッセージは特筆に値します:
本レポートの筆頭著者であるUNU-IASシニア・リサーチ・フェロー蟹江憲史氏は「ニューヨークのワークショップでは、重要な政策決定者やステイクホルダー、科学者など様々な立場からの活発な意見交換が行われ、非常に重要なアイデアがたくさん出された。とりわけ、現在のSDGsをめぐる政策論議において活発な議論がなされていないガバナンスの側面について、多角的視点から議論がなされ、貴重なアイデアが得られたことは大きな成果の一つである」と話しました。
さらに、本レポートの共著者であり地球システムガバナンスプロジェクトの事務局長であるルーベン・ゾンダーヴァン氏は、「本ワークショップは中核となる研究課題に対して研究者と政策決定者が活発的な討論を通して意見を交換する協働の良い例であり、POST2015プロジェクト、UNU-IAS、そして地球システムガバナンスプロジェクトが行う国際的共同研究にとって非常に有意義な出発点である」と付け加えました。
本レポートは、持続可能な開発ガバナンスプロジェクトと地球システムガバナンスプロジェクトによるSDGsに関する共同研究成果レポートシリーズ第一弾であり、今後も順次UNU-IASホームページ上で研究成果を発表していく予定です。