ナッジ・イノベーション・シンポジウム ~ SDGsの達成・地域循環共生圏の具現化に向けて~開催

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  • 2019年7月9日     東京

    2019年5月24日UNU-IASは、環境省、日本版ナッジ・ユニットBESTと共に「ナッジ・イノベーション・シンポジウム ~ SDGsの達成・地域循環共生圏の具現化に向けて~」を開催しました。ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)を含む行動科学の知見(行動インサイト)に基づく取り組みは、様々な社会課題解決に適用し得るものとして注目され、政策や社会への実装が徐々に進められています。本シンポジウムは、SDGs(持続可能な開発目標)等達成に向けた行動インサイトの活用などに関して議論することを目的として開催されました。

    シンポジウム冒頭の勝俣環境政務官による開会挨拶では、多様なステークホルダーと協働し、行動変容に関する理解を深める重要性が強調されました。また、竹本和彦UNU-IAS所長は、政策と行動を通して社会の複数課題を解決する上で行動科学が果たす役割、またSDGsを達成するために行動科学の知識をより活用して議論を続けていく必要性について説明しました。

    基調講演をおこなった英国Behavioural Insights Team 最高経営責任者 David Halpern氏は、行動科学をSDGs達成に適用する手法、効果的行動特定のための実証試験の必要性、社会規範の効果活用について発表し、政策改善のため科学的根拠に基づく手法を構築し続ける重要性を強調しました。続く小倉 將信衆議院議員による基調講演では、エビデンスに基づく政策立案(EBPM)を改善する上で統計、指針、組織等が重要であるとの説明がなされました。

    セッション1「行動インサイト×技術(バイテックBI-Tech)」では、ナッジ手法を活用し行動科学と技術を統合する可能性、データの質に関する課題、量から質への重視、今後の改善に向けた技術の実証の必要性等が紹介されました。セッション2「行動インサイト×SDGs・地域循環共生圏」では、ESG投資といった企業における持続可能性、SDGsの重視、ナッジを取り入れた地域政策や場づくり、ナッジの活用事例(再生可能エネルギー、水問題、衛生、健康、教育等)がテーマとなりました。パネルディスカッションでは「ナッジの先Beyond Nudge」として、行動科学の知見をSDGsをはじめとした持続可能性に関する政策と組み合わせていくことの可能性、様々なナッジ事例を集めることの重要性、無関心層への働きかけについて議論しました。

    本シンポジウムを通し、行動変容を通じたSDGsの達成、脱炭素社会の構築やライフスタイルのイノベーション実現、well-beingの向上等、行動に着目した社会課題の解決に繋げていくことの重要性が確認されました。

    本シンポジウムの発表資料はこちらをご覧ください。(環境省ウェブサイト)