2018年世界湿地の日記念シンポジウムを開催

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  • 2018年2月9日     東京

    2018年2月2日、 UNU-IASは、日本国際湿地保全連合(WIJ)および地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)とともにラムサール条約事務局が定めた「世界湿地の日(World Wetlands Day)」を記念して「2018年世界湿地の日記念シンポジウム」を開催しました。本シンポジウムでは、今年のテーマである「都市の湿地を守ろう~持続可能な未来のために~ 街の暮らしを支える湿地(Wetlands for a sustainable urban future~Urban wetlands making cities livable~)」
    について講演とパネルディスカッションが行われ、都市の湿地の多機能性や価値、魅力を共有し、また都市の湿地の重要性について考えました。

    冒頭、WIJの名執芳博氏が登壇し、都市の身近にある多様な湿地の恵みを実感し、暮らしの中で活かす方策を考える場となることを期待すると挨拶しました。続いて、環境省野生生物課課長の堀上勝氏が、都市に隣接した条約湿地の増加に伴い、水辺空間の大切さや活用に関する学びの機会が増え、より豊かな暮らしに繋がってゆくことを期待すると言及しました。

    シンポジウムでは、UNU-IASの真砂佳史リサーチ・フェローが、途上国における急速な都市化に伴う水問題や、湿地の活用、開発の課題に関する講演を行いました。真砂氏は、湿地の浄化作用を活用している都市がある一方で、湿地エリアの開発が進んでおり、開発と保護のバランスが課題となっていると指摘しました。その他、本シンポジウムでは、法政大学の高田雅之氏、株式会社生態計画研究所の小河原孝生氏による基調講演や、東京都港湾局臨海開発部海上公園課の坂下智宏氏、新潟市潟環境研究所の隅杏奈氏、認定NPO法人バードリサーチの守屋年史氏らの取組紹介を通じて、都市の湿地が持つ機能や価値、湿地を取り巻く課題についての情報共有や今後、都市の湿地を活用してゆくための方策について発表が行われました。

    後半のパネルディスカッションではUNU-IASの渡辺綱男がモデレーターを務め、登壇者や参加者を交え活発な議論が行われました。ふれあいや学習の場として湿地を活用し、地域の市民団体を巻き込んで魅力を伝えてゆくことで、湿地の恵みを実感することに繋がり、ひいては生態系の保全、持続可能な都市づくりに繋がってゆくことの重要性が共有されました。