2019年世界湿地の日 記念シンポジウム開催

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  • 2019年1月31日     東京

    UNU-IASは、日本国際湿地保全連合(WIJ)とともに「2019年世界湿地の日記念シンポジウム」を1月24日に開催しました。このシンポジウムでは、専門家、NGO、自治体、企業がそれぞれの立場から今年の湿地の日のテーマである「湿地と気候変動」について話しました。

    最初に登壇した増田大美UNU-IASプログラムコーディネーターは、開発と環境に関するこれまでの議論を紹介しながらSDGsに関する国際的動向を紹介しました。またラムサール条約による報告書から湿地とSDGsの関係性を紹介し、湿地は目標6 、目標15を中心に、全ての目標と関係しており、SDGsの各ゴール間の関係性や相互作用への再認識が求められていることを強調しました。

    WWFジャパン気候変動・エネルギーグループの市川大悟氏は、気候変動の現状について、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に追加される生物が増えていること、アジア・オセアニア地域ではサンゴが激しく損傷するおそれが高まっていると指摘しました。さらに解決に向けた国際的な動きとして、2018年12月に開催されたCOP24で、ルールブックの策定や閣僚級のタラノア対話が実施されたことを報告しました。

    国立環境研究所気候変動適応センターの熊谷直喜氏は、気候変動の影響からサンゴの白化が起こることに加えて、海藻にも食害魚類の分布拡大による温帯種の減少が起きており、間接的・複合的な要因を考慮しながら、適応策を策定してゆくことが重要だと指摘しました。

    また岩熊敏夫 北海道大学名誉教授は、尾瀬に見られる気候変動の影響として、湿原の環境に重要な降水日数や降雨量の変化がみられ、環境の劣化が進むことが懸念されていることを指摘しました。

    MS&ADインシュアランスグループホールディングスの浦嶋裕子氏は、損害保険会社にとって2018年は風水害の支払い保険額が国内外で記録的な一年であったと報告しました。また、気象情報アラートサービスや、洪水頻度予測マップなどの気象リスク情報の提供、メキシコのサンゴ礁保険のように生態系サービスに関連する保険が誕生するといった新しい動きについても紹介しました。

    東松島市 復興政策部復興都市計画課の森祐樹課長は、C.W. ニコル・アファンの森財団の協力のもと再建された「宮野森小学校」や復興の森づくりの取り組みや、地域と一緒に進める野蒜の洲崎湿地の再生事業を通じた環境保全と経済成長を両立する持続可能な都市計画構想を紹介しました。