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環境専門誌『つな環』に寄稿:SDG6達成に向けたUNU-IASの貢献
2022年11月1日 東京
「持続可能な開発のための水(Water for Sustainable Development (WSD)」は、水をテーマに持続可能な開発を促進する政策研究と能力開発を行うプロジェクトです。研究活動を通して、水がアジア大平洋地域の社会、経済、自然環境に果たす役割を検証すると共に、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」、特に水関連の目標の達成がいかに当該地域の持続的発展に貢献するか、その科学的根拠を導き出すことを目指しています。
アジアには流域沿いに発展し、自然景観や歴史的遺産を活かした農産業から生活の糧を得ている地方都市が多く存在します。そこでの人の暮らしには、自然、特に水が必要不可欠であり、水の質や量に変化が生じれば、地域の社会、経済、環境に影響が生じると考えられます。国連が「水環境の保全」をSDGsの目標6に掲げているのは、地域の自然や人の暮らしにおいて水が果たす役割と影響を認識してのことです。
このように水が果たす役割を正しく理解することが地方の持続可能な開発に不可欠であるとはいえ、そのためにはさまざまな専門知識を組み合わせた複合研究が必要です。WSDは、UNU-IASがこれまで水分野で培った学際的政策研究の知見を活かし、以下を目的とした研究を実施しています。
1)中小都市を含むアジアの流域において、水が持つ役割を統合的に評価する枠組みを構築する。 2)上述 の対象流域が、地域特性を生かしながらSDGsが目指す水環境を実現できるよう、複数のシナリオを構築する方法を確立する。 3)流域の水環境保全を通じた地域の持続的発展に資する分析評価ツールと政策オプションを提案する。
UNU-IASは、2014-2017年に同じ水分野で「水と都市のイニシアティブ(Water and Urban Initiative)」事業を実施し、研究を通してアジアの都市の水環境改善に貢献しました。WSDは、上述の研究に取り組むにあたり、先行事業であるWUIの知見や人脈を最大限活用する予定です。
UNU-IAS 持続可能な開発のための水 (WSD)プロジェクトの研究成果を示す出版物は以下の通りです。
南アジアの持続可能な農業のためのマイクロ灌漑を促進
(英題:Scaling up Microirrigation Technology to Address Water Challenges in Semi-arid South AsiaAdvancing Multiple Values of Water in Water Policy & Management in Asia)UNU-IAS ポリシーブリーフ, No. 30, 2022
本ポリシーブリーフは、南アジアにおける水管理を改善し、農業生産を増やすための革新的な解決策としてマイクロ灌漑の有用性を強調し、マイクロ灌漑テクノロジーの大規模な展開に対する現在の障壁を検証した上で、実施推進に向けた提言をまとめています。
著者は、ギータ・モハン、ランジータ・ミシュラ、A アマレンダ・レディ、松田浩敬、関山牧子、福士謙介です。
アジアの水政策と管理における水の多面的価値の促進
(英題:Advancing Multiple Values of Water in Water Policy & Management in Asia)UNU-IAS ポリシーブリーフ, No. 28, 2021
本ポリシーブリーフは、アジアにおける水の安全保障に関する複雑な課題と、水が人間のウェルビーング、健康、身体の安全、教育等に及ぼす広範な影響を分析し、UNU-IASがインドで実施した研究に基づき、政策立案・管理における、生命の維持や経済活動の促進を超えた水の多面的な価値を擁護しています。
本論文の著者は、ジュリア・ロダー、ギータ・モハン、チャパガイサ・ローズ、福士謙介です。
(英題:Transforming Water Conflicts into Collaborative Watershed Management Solutions — Lessons from the Greater Himalayan Region)UNU-IAS ポリシーブリーフ, No. 23, 2021
水を巡る対立の構図を、流域協働管理へと転換し解決を図ることを提言するUNU-IASのポリシーブリーフが発表されました。このブリーフは、水政策立案者等を対象に、特に地域の水専門家の役割に重視した関係者連携を通じ、水紛争を解決するアプローチを提唱しています。
本論文の著者はジュリア・ロダー、チャパガイサ・ローズ、ターレク・カトラミーズ、ギータ・モハン、ビナイ・クマール・ミシュラ、福士謙介です。
Chapagain, Saroj, Mohan, Geetha, Rimba, Andi B., Payus, Carolyn, Sudarma, I.M. and Fukushi, Kensuke, (2022). Analyzing the relationship between water pollution and economic activity for a more effective pollution control policy in Bali Province, Indonesia. Sustainable Environment Research 32(5), 1–14
Shrestha, Sadhana, Yoshinaga, Emi, Chapagain, Saroj, Mohan, Geetha, Gasparatos, Alexandros and Fukushi, Kensuke, (2021). Wastewater-Based Epidemiology for Cost-Effective Mass Surveillance of COVID-19 in Low- and Middle-Income Countries: Challenges and Opportunities. Water, 13(20), 1-14
Mohan, Geetha, Chapagain, Saroj, Fukushi, Kensuke, Papong, Seksan, I.M. Sudarma, Rimba, Andi B. and Osawa, Takahiro, (2021). An extended Input–Output framework for evaluating industrial sectors and provincial-level water consumption in Indonesia.Water Resources and Industry, 25,100141
Rimba, Andi B., Mohan, Geetha, Chapagain, Saroj, Andi, Arumansawang, Payus, Carolyn, Fukushi, Kensuke, Husnayaen, Osawa,Takahiro and Avtar, Ram, (2021). Impact of population growth and land use and land cover (LULC) changes on water quality in tourism-dependent economies using a geographically weighted regression approach. Environmental Science and Pollution Research, 28, 25920-25938
Chapagain, Saroj, Mohan, Geetha and Fukushi, Kensuke, (2020). An Extended Input–Output Model to Analyze Links Between Manufacturing and Water Pollution in Nepal. Water, Air, & Soil Pollution, 231 (570), 1-11
2022年11月1日 東京
2022年9月14日 チュニス&オンライン
2022年8月31日 オンライン
2022年8月30日 東京
2022年6月14日 ELLE
2022年4月29日 熊本市
2022年4月28日 東京
2022年4月20日 Diplomatic Courier
2022年4月20日 ダカール、セネガル
2022年3月26日 オンライン