竹本和彦博士、新研究所の所長に就任

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  • 2014年1月9日     東京

    国連大学サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)は、横浜の国連大学高等研究所(UNU-IAS)との統合により、新しい国連大学サステイナビリティ高等研究所を設立します。現在、統合作業が進められており、2014年に完了する予定です。新しい研究所は国連大学本部(渋谷区)に設置されます。

    新しい国連大学サステイナビリティ高等研究所は、持続可能性の科学、生物多様性及び環境ガバナンスなどさまざまな環境研究に基づく高水準の政策決定に焦点を合わせます。

    竹本和彦博士が2014年1月1日付けで新しい研究所の所長に就任しました。竹本博士は、環境政策の開発と研究管理に関して、約40年に及ぶ広範な経験を有しています。国際的な環境問題の外交官としての経験とともに、今後、所長としての任務に反映していきます。

    「国際的な環境分野での研究と行動で私たちや世界の多くの人々にも高名な竹本博士が着任されることは、非常に喜ばしいことです。彼の参加により、私たちのチームワークは強固なものになるでしょう」とデイビッド・マローン国連大学学長は述べています。

    竹本博士は、2010年からUNU-IASのシニア・フェローおよびプログラム・ディレクターとして、同研究所の持続可能な開発のための教育(ESD)、国際SATOYAMAイニシアティブ(ISI)、ならびに「いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット」の指揮を執ってきています。また、UNU-ISPのFUKUSHIMAグローバル広報事業(FGC)のプログラム・リーダーも務めています。

    国連大学に参加する前は、日本政府内で環境関連のさまざまな要職を歴任し、最近では環境省(MOE)地球環境審議官(次官級)(2008~2010 年)を務めました。この役職においては、とりわけ気候変動、生物多様性、越境大気汚染といった地球環境問題に関する国際交渉のための国家戦略の開発を担当しました。環境省ではほかに、環境管理局長(2005~2008年)、地球環境局次長(2003~2005年)、廃棄物対策課長(2002~2003年) などを歴任しました。さらにそれ以前には、環境省の前身である環境庁、ならびに国際応用システム分析研究所(IIASA オーストリア、1995~1996年)、世界銀行(1989~1992年)、静岡県庁(1980~1982年)においてさまざまな役職を担当しました。

    また同博士は、OECD環境政策委員会の副議長、国連持続可能な開発委員会(CSD)の閣僚級ラウンドテーブルの共同議長、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の事務局長も務めています。竹本博士は、東京大学で工学学位、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究大学院 (SAIS)で国際公共政策修士号を取得しています。また最近、東京大学から博士号を取得しました。

    「新設された研究機関に貢献し、私達の持続可能な未来に向け、所員一丸となって取り組む機会を頂くことができ、たいへん嬉しく光栄に存じます」と竹本博士は話しています。

    運営を効率化し、影響力を高める

    2つの研究所の人的資源・財源を結集しそれぞれの強みを活かすことで、新たな組織には統合による相乗効果が期待されます。国連大学の日本を拠点とするこれら2つの研究所の間では、これまでも常にある程度の協力は行われてきましたが、地理的にまた運営や法律上において別個の組織であることが、円滑な連携の妨げとなっていました。

    「今回の統合により、運営が効率化し、 UNU-IASとUNU-ISP の研究者また教職員にとってより充実した統合的環境での連携が可能になります。同時に教育プログラムの充実にもつながるでしょう」とマローン学長は述べています。

    研究、教育、能力育成の諸活動が、資金力のある強固な組織のもとで統合されることにより、活動の信頼性と影響力が高まるとともに、日本や世界各国における国連大学のステークホルダーの期待に一層応えることができるでしょう。統合により、設備維持費そして学術支援制度の両面において相当程度の節約効果が期待されます。また研究所の規模が拡大されることにより、国連大学で学ぶ大学院生にとって研究機会の幅が広がることになるでしょう。