ジェフリー・サックス氏、国連気候変動パリ会議は失敗に終わることが許されないと語る

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  • 2014年10月20日     東京

    Photo: C Christophersen/UNU

    Photo: C Christophersen/UNU

    2014年10月2日に国連サステイナビリティ高等研究所とミレニアム・プロミス・ジャパンとの共催(後援:JICA)で国際シンポジウム「持続可能性とポスト2015年開発アジェンダの統合を目指して」が開催されました。本シンポジウムでは、コロンビア大学地球研究所所長のジェフリー・サックス教授による基調講演、有識者によるパネル・ディスカッション、会場全体によるインタラクティブ・セッションが行われました。

    サックス教授による基調講演では、いま世界が直面している環境的危機を踏まえ、環境分野での技術革新の重要性が強調されました。また、ポスト2015年開発アジェンダを成功に導くためには、国際社会が共通の目標を設定するだけでなく、持続可能な発展を下支えするグローバルな運動の必要性についても言及されました。

    続く専門家によるパネル・ディスカッションでは、ポストミレニアム開発目標や持続可能な開発目標の策定と実施に向け、国際社会が取り組むべき具体的なアクションについて、それぞれの専門の立場から議論されました。

    東京大学大学院総合文化研究科の教授であり、同研究科グローバル地域研究機構アフリカ地域研究センター長を務める遠藤貢氏は、ミレニアム開発目標は貧困削減と普遍的初等教育の分野では一定の成果が見られる一方で、急激な人口増加と気候変動リスクにより、その他の目標達成が大きく影響を受ける懸念があると述べました。

    次に国連環境計画国際環境技術センター所長のスレンドラ・シュレスタ氏は、ポスト2015年開発アジェンダの策定および実施に向けて、グローバル・レベルで長期的な視点に基づいた政治合意を得ながら、ローカル・レベルでは地域に根ざした伝統的知識を活かすことが重要だと強調しました。

    続いて、国連大学サステイナビリティ高等研究所シニア・リサーチ・フェローを務め、東京工業大学大学院社会理工学研究科の准教授である蟹江憲史氏からはポスト2015年開発アジェンダに向けたガバナンスの在り方が提示され、持続可能な開発目標の効果的な実施に向けた国際制度間の連携の重要性などが強調されました。

    環境省顧問の谷津龍太郎氏は将来の持続可能な開発をめぐっては、水問題、都市化、そして持続可能な消費と生産の3つの課題がとくに重要になると提起しました。

    会場全体によるインタラクティブ・セッションでは、ポスト2015年開発アジェンダの中でも重要課題の一つである気候変動問題に関する問いかけに対し、サックス教授から来年にパリで開催予定の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議は失敗に終わることが許されないとする見解が示されました。

    最後の閉会の挨拶では、北岡伸一氏(国際大学学長、東京大学名誉教授、ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ) 会長)から、ポスト2015年開発アジェンダに向けた日本の役割と、開発の根本である平和の重要性などが強調されました。