「都市の脆弱性を考える: 気候変動とグローバル化の観点から」公開セミナー開催

,

ニュース
関連ファイル
  • 2018年7月17日     東京

    Photo: IGES

    2018年7月6日、UNU-IASと公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、「都市の脆弱性を考える:気候変動とグローバル化の観点から」と題した公開セミナーを開催しました。セミナーは基調講演や活発なパネルディスカッションで構成され、気候変動とグローバリゼーションの影響を解決し、地域、国家、またグローバルなレベルにおける行動を加速させるための対策、課題及びベストプラクティスを共有する場となりました。

    開会挨拶として、竹本和彦 UNU-IAS所長は気候変動及びSDGsの達成に向けた対策における都市の重要性を強調しました。また、平尾雅彦 東京大学大学院工学系研究科教授は、都市における持続可能な消費と生産の観点から都市計画、インフラ開発、持続可能なライフスタイルが不可欠であると述べました。

    はじめにイントロダクションとして、西田裕子 自然エネルギー財団気候変動グループマネージャーより、日本国内におけるエネルギー消費と生産に関する進展及び課題について紹介がありました。この中で西田氏は、日本における抜本的なエネルギーシフトの必要性とともに、持続可能なエネルギー政策にシフトするための小規模な取り組みを積み重ねることにより、都市が二酸化炭素排出量削減の対策をリードできる可能性を指摘しました。

    イントロダクションに引き続き、ウィリアム・リース ブリティッシュ・コロンビア大学大学院コミュニティー地域計画科名誉教授(前研究科長)より基調講演が行われ、気候変動とグローバル化の関係性と都市が抱える将来の不確実性に関する発表が行われました。持続可能な生産と消費を達成するためには、経済的、社会的な成長パラダイムをGDP中心から地球の生物物理学的キャパシティ中心のものへ変えていくことの重要性を強調しました。また、全てのステークホルダーに対して共通の課題に焦点を当て議論をより前進させるよう促しました。

    後半のパネルディスカッションでは、堀田康彦 IGES持続可能な消費と生産領域プログラムディレクターが、持続可能な消費と生産を支える地域の循環経済(サーキュラーエコノミー)を推進するためのネットワーク、専門家とICTの役割を強調しました。

    梅田靖 東京大学大学院工学系研究科教授は、より持続可能なライフスタイルへと向かうため、政策決定者と社会のマインドセットを移行させるためのガイドラインが必要と論じました。鈴木政史 上智大学大学院地球環境学研究科教授/UNU-IASシニア・リサーチ・フェローは、脱都市化は地域経済を再活性化させ人々のモビリティを解決する観点からメリットがあり得ると指摘しました。

    最後に森秀行 地球環境戦略研究機関(IGES)所長より閉会の挨拶があり、人口減少時代に安定的な社会を維持しながら生物物理学的な課題に取り組むうえで、新しいモデルの開発が必要であるとして締めくくりました。

     

  • Nishida Presentation Slides

    (9.0 MB PPTX)

    Rees Presentation Slides

    (2.7 MB PPTX)