持続可能な観光における地域文化について考えるセミナー

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  • 2022年12月25日     オンライン

    2022年12月19日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、「観光とSDGs – 2030年の金沢の文化と観光を考えよう」と題し、観光客を受け入れる地元の目線から文化に焦点を当てて考えるオンラインセミナーを開催しました。本イベントは、観光とSDGsに関するセミナーシリーズの一環として、いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)の主催で行われました。

    本セミナーでは、まずUNU-IASの津田祐也研究員がテーマ設定を行ったのち、UNESCO文化局の吉田礼子氏が文化や創造産業とSDGsとの多岐にわたる結びつきに触れ、文化を基盤とした地域づくりの可能性に言及しました。世界最大のトラベルメディア『トリップアドバイザー』の中川聡美アカウントエグゼクティブは、持続可能な観光に対する世界の旅行者の強い関心に注目し、地域主導のストーリー性を持った発信が重要だと述べました。

    続いて、金沢の文化と観光に関する3つの活動事例が紹介されました。約150年の歴史を持つ九谷光仙窯は、伝統文化に内在してきたSDGsの要素に着目し、文化の再評価や軌道修正に生かすことの有用性を強調しました。伝統・民衆文化事業に携わるkanazaWAZA研究所は、アートによる課題解決を切り口とした新たなSDGsプロジェクトを紹介しました。また、新しい文化とまちの賑わいの創出を目指す金沢21世紀美術館は、開かれた共生社会コミュニティの一つとして未来を描くという美術館の機能について述べました。

    その後、2030年の金沢の文化と観光のあり方についてパネルディスカッションが行われ、UNU-IASの渡辺綱男 シニアプログラムコーディネーターは、地域の「生物文化多様性」に根ざした個性豊かな地域づくりこそが持続可能な観光の鍵となると語り、本セミナーを締めくくりました。