国連大学SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)第10回ワークショップ開催

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  • 2021年10月18日     オンライン

    2021年9月7日、SDG大学連携プラットフォーム(SDG–UP)の第10回ワークショップがオンラインで開催され、参加大学24校から58名が出席しました。今回は、米国アリゾナ州立大学(Arizona State University : ASU)、Global Institute of Sustainability and Innovation 副所長のデイブ・D・ホワイト教授をお招きし講演いただきました。ASUはSDGsに関わる取り組みに大変力を入れており、今年4月に発表されたTimes Higher Educationの Impact Rankingでは全米で第1位、世界で第9位にランクインしています。本ワークショップでは、ホワイト教授が多岐にわたるASUのサステイナビリティへの取り組みについて紹介されました。

    ASUは、マイケル・M・クロウ学長のリーダーシップのもと「全米に奉仕する大学」を標榜し、ASU憲章に基づいて国際的・公共的に価値のある研究を行い、社会の健全な発展に貢献することを目標としています。「受容」を重視し、多くの学生を受け入れ教育し、成功させることを大学の評価と考えており、2019年度、2020年度は6億ドル以上の研究費を投入して学生を成功に導くための徹底した支援を行ってきました。

    ASUでは、University Sustainability Practiceという学内コンサルタント・サービスがサステイナビリティに関する戦略的なサポートを行っています。また、クロウ学長が「地球に対するメディカルセンター」と呼ぶGlobal Futures Laboratory (GFL)という約2億ドルの費用をかけた研究施設がテンピ・キャンパスに2022年1月に開所します。地球の居住性を維持し、全人類の幸福を向上させるための選択肢を作り出すことをミッションとして、米国初のサステイナビリティ学研究科である「School of Sustainability (2006年設立)」を含む「College of Global Futures」などが併設されます。

    Times Higher Education Impact Rankingに関しては、学内でタスクフォースが設置され、毎年スコアを綿密に検討して各目標への貢献を裏付ける最良のエビデンスを特定しています。また、SDG & Beyond Task Forceは、GFLディレクターとThunderbird School of Global Management CEOが共同議長として毎年SDGsの目標改善に取り組み、大学と政府、企業、NGOの連携の強化に貢献しています。

    ASUはまた、グローバル企業であるスターバックスと連携することで、店舗の設計、構築、運営をサステイナブルに改革し、世界中の店舗やコミュニティに拡大する戦略を開発・検証しています。スターバックスの米国内の従業員が、授業料は全額会社負担でASUのオンライン学士号プログラムを受講できる仕組みもあり、現在19,000人以上が受講、開始以来約6,500人が学位を取得しています。

    ホワイト教授は、大学の持続可能性に関する知識生成と伝達、および課題解決に向けてステークホルダーと連携する場となる機能について触れ、グローバルなネットワーク構築の重要性を強調しました。また、SDG-UPの大学間ネットワークは素晴らしい戦略であり、ASUも可能な限り支援していきたい、というクロウ学長からのメッセージを伝えました。

    その後、UNU-IASの福士謙介アカデミック・ディレクターをモデレーターとして、ASUの様々な取り組みに関して活発な議論が交わされました。ASUは、早くから分野を横断した融合的アプローチでサステイナビリティ教育プログラムを策定し全学の学生へのトレーニングを開始しており、大変効果的であったとの情報も共有されました。さらに、クロウ学長のように全力を傾けてくれるリーダーシップの重要性も確認されました。

    第2部は、参加大学によるグループ討論が行われました。サステイナブル・キャンパスに関するテーマでは、各大学の様々な取り組みは縦割りが多く全学一律の取り組みが難しいという意見がありました。また、取り組みへのインセンティブの重要性も指摘されました。大学を取り巻くステークホルダーとの関わりについては、大学と企業・自治体間の連携の事例が多く共有された一方、大学が組織的に取り組む上での課題が指摘されました。さらに、都市型と地方・郊外型、国立と私立といったそれぞれの大学の特性を考慮して連携をする必要性が強調されました。

    総括として、村田俊一関西学院大学総合政策学部教授(SDG-UPアドバイザー)は、SDGsの多岐にわたる問題解決のためには、ASUのGlobal Future Laboratoryのような、分野横断的な新しい組織の構築が効果的だと述べました。また、ASUのオンライン教育で57,000人が学位取得をしている点に触れ、今後日本でもSDGsに関してオンライン教育を充実させて行く必要性を指摘しました。そして、SDGsというコンセプトには途上国から発信された切実なメッセージが含まれており、産業国の消費・経済に対する偏重主義とテクノロジー頼りの問題解決からの脱却の必要性を強調しました。最近の「SDGsウォッシュ」(SDGsに取り組んでいるように見せているが実態が伴わない)と批判される企業の問題については学術界も意識する必要があると指摘し、国際舞台で活躍する学生を育成するために、多様性を重視した国際的なカリキュラムを通じて行動変容を促していくことを強調してワークショップを締めくくりました。

    このワークショップの詳細なレポートは、こちらをご覧ください。

    参加大学

    愛媛大学、広島大学、北海道大学、国際基督教大学、国際大学、神奈川大学、金沢大学、慶應義塾大学、関西学院大学、北九州市立大学、九州大学、奈良教育大学、ノートルダム清心女子大学、お茶の水女子大学、大阪大学、大阪医科薬科大学、龍谷大学、創価大学、東海大学、東京都市大学、東京外語大学、東京工業大学、東洋大学、東京大学

    全24校(アルファベット順)