上智大学国連Weeksシンポジウムで気候変動とSDGsの統合的な行動を議論

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  • 2022年10月26日     オンライン

    2022年10月18日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は、上智大学国連Weeksの一環で開催されたオンラインイベント「パリ協定達成に向けた脱炭素への取り組みとSDGsのインターリンケージ:グローバル・ローカルなイニシアティブ」に協力団体として参加し、専門的な知見を提供しました。

    本イベントでは、公的機関の専門家や企業の代表らが登壇し、より持続可能な未来に向けた実践的な行動について事例紹介や議論が行われました。本イベントは、上智大学とグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが共催し、UNU-IASと地球環境パートナーシッププラザの協力のもとで実施されました。

    冒頭、基調講演で登壇した鈴木政史UNU-IAS非常勤教授/上智大学大学院地球環境学研究科教授は、近年の国際社会と日本における地球環境問題の顕在化と取り組みの経緯を概説しました。また、日本の課題である地方と都市部の格差問題を考える上で、コロナ禍で注目を集めたテレワークや、サステナブル・ツーリズムを越える概念である科学的なツーリズムの登場について触れ、こうした動きを企業にとっての新たなビジネス機会と見ることで課題解決につなげていく可能性に言及しました。

    UNU-IASの竹本明生プログラムヘッドは、昨年グラスゴーで開催されたCOP26を振り返り、国際的にはパリ協定が交渉から実施のフェーズに入ったことを踏まえ、脱炭素技術と投資だけに焦点を絞ることなく、パリ協定とSDGsの同時達成を目指すことの重要性について述べました。また、同時達成への取り組みは、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を軸に、トレードオフ(両立不可能生)を回避しつつ、様々な社会課題の解決にも寄与するシナジー(相乗効果)を推進し、システム全体を見据えた公正な社会変革を行っていく必要があることを強調しました。そして、こうした取り組みの推進には、科学的な知見を強化することが重要であると指摘するとともに、課題解決にはグローバルなサプライチェーンからの影響を考慮する視点が不可欠である、と付け加えました。

    パネルディスカッションでは、企業や自治体の代表者とともに、持続可能性を踏まえた気候変動や自然災害への対策、ビジネスにおけるサプライチェーンの管理、過疎対策、食糧安全保障といったテーマについて議論が行われました。

    閉会挨拶で登壇したグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの有馬利男代表理事は、企業の価値創造において、経済発展性だけでなく、社会性や環境性を統合的に取り込む必要があるため、インターリンケージを考える視点はますます重要になる、と述べてシンポジウムを締めくくりました。