国連水会議にて都市の水の持続可能性のためのパートナーシップを発表

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  • 2023年3月27日     オンライン

    2023年3月18日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)は国連2023年水会議にて、「持続可能な開発の達成に向けたアジアにおける都市の水の価値づけ」をテーマとしたサイドイベントをオンラインで開催しました。本セッションはアジアの都市に焦点を当て、水の持続可能な利用と管理を確保するために必要とされる多様なステークホルダーの連携、技術移転とローカライゼーション、能力構築について議論しました。本イベントにおいてUNU-IASは、都市の水質測定に関してアジアの学術機関と加盟国政府間の協力関係を構築する2年間のイニシアチブである「アジアの都市における水の持続可能性のためのパートナーシップ」を発表しました。

    開会挨拶で東京大学未来ビジョン研究センター副所長でもあるUNU-IASの福士謙介アカデミック・プログラム・アドバイザーは、経済、環境、人間の幸福のバランスをとることの重要性を強調し、水質汚染が農業や人間の消費など複数の分野に及ぼす悪影響について言及しました。また、レジリエンス(回復力)と持続可能な開発を促進するためには、信頼できる科学的データとモデルが重要であると強調しました。

    基調講演では、UNU-FLORESのダニエル・カルテ研究プログラムヘッドが、モンゴルにおけるSDG6進捗に関するデータの利用可能性について議論しました。また、安全に管理された衛生サービスや開発援助資金の利用、安全で安価な水へのアクセスのレベルに関してデータが同じような値を示している一方で、水ストレス(水需要に関する逼迫)のレベルは非常に異なっていると指摘しました。さらに、モンゴル政府はほとんどすべての指標のデータを欠いており、同国の水の課題を評価するためには信頼できるデータが早急に必要であると強調しました。

    続く基調講演の中でUNU-CRISのニディ・ナガバトラ上級研究員は、ガバナンス、越境協力、金融安全保障、および経済・環境・水関連の問題のつながりに焦点を当て、世界の水の安全保障について論じました。また、世界自然保護基金(World Wildlife Fund)の水評価データベースのような一般に公開されているデータは、民間企業や地域コミュニティにとっても利用可能であることを指摘しました。

    パネルディスカッションでは、水の評価と水質、水資源の持続可能な利用に焦点が当てられました。登壇者らは、水質評価の基礎として、水質低下を緩和するためのコストと水質回復のためのコストを比較する必要性を強調しました。また、循環型経済を前進させることを念頭に、地域的な要因の重要性や再生水の価値など、その他の重要な点への指摘も行われました。プラネタリーヘルス(地球の健康)を守るために水の価値への認識を高めるべく、社会水文学を統合的なアプローチとする議論も交わされました。さらに、アジア諸国の水課題に対処するための分野横断的な協力、官民連携、地域政策の開発、相互学習と研究、能力開発、関連技術の必要性が強調されました。

    UNU-IASのアカデミックアソシエイトであるジアン・プー 研究員とUNU-FLORESのサローズ・チャパガイ アソシエイト・プロググラム・オフィサーの司会で行われた対話型セッションでは、参加者が水の評価について意見を交わし、加盟国と国連機関との協力関係を強化する機会となりました。

    本イベントは、UNU-IAS、国連大学地域統合比較研究所(UNU-CRIS)、国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所(UNU-FLORES)、環境省、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、東京大学未来ビジョン研究センター、フューチャーアースの共催で行われました。